韓国政府が対応策を明らかに
第二次大戦中に日本企業で強制労働させられたと主張する韓国人元労働者と遺族が日本企業に賠償を求めた、いわゆる徴用工訴訟の問題で、最初の韓国最高裁判決から実に7か月半が経過した6月19日、ようやく韓国政府が対応策を明らかにした。
以下が、韓国外務省が発表した文章の全文だ。
●外務省 強制徴用判決問題、韓国政府の立場
(1)去年10月30日の強制徴用問題に対する大法院(※韓国最高裁)判決以後、わが政府は関係部署間協議と各界要人意見および世論聴取、諸般要素に対する総合的検討など多角的な努力を傾けて、問題解決に役に立つことができる方案を模索してきた。
(2)これと関連して訴訟当事者である日本企業を含んだ韓日両国企業が自発的拠出金で財源を作って確定判決被害者に慰謝料該当額を支給することによって、当事者間の和解が成り立つことが望ましいという意見が提起されたことがある。
わが政府は日本側がこのような方案を受け入れる場合、日本政府が要請した韓日請求権協定第3条1項協議手続きの受け入れを検討する用意があって、このような立場を最近日本政府に伝達した。
(3)政府は強制徴用問題解決のための努力を今後も着実に傾けていくことであるし、過去の歴史から始まった問題はそれなり解決努力を傾けていく一方、両国間に実質的に必要な協力は継続推進することによって各自の国益に役に立つ方向で韓日関係を賢く管理して発展させていきたいと思う。
韓国政府が出した対応策のポイント
日本政府は、1965年の日韓国交正常化の際に結ばれた日韓請求権協定で問題は解決済みとの立場だ。請求権協定で日本は有償・無償合わせて5億ドルという巨額な経済協力金を韓国政府に支払った。請求権協定で「完全かつ最終的に解決した」問題には、元労働者の未払い賃金、身体的・精神的苦痛に対する補償が含まれている事は、韓国政府が発行した文書にも明示されている。そのため日本政府は、判決は請求権協定違反だと強く反発し、韓国政府に対応を求めている。賠償支払いを命じた判決が確定した日本製鉄と三菱重工も、支払いを拒否しているのだ。
その前提で韓国政府が出した対応策を見てみると、日本企業に資金を出すよう求めている段階で、日本政府から見れば話しにならないだろう。
韓国メディアなどが以前から提案していた対応策の中にも同様の「日韓企業による基金案」が出ていたが、彼らが拠り所にしていたのは、日本の西松建設や三菱マテリアルが中国人元労働者に和解金を支払った事例だ。中国人元労働者は、日本での損害賠償請求訴訟では敗訴したが、日本企業は自発的に基金を作って補償した。韓国人元労働者にも同様の対応をしろというものだ。
しかし、日本と中国が国交正常化した際に、請求権の問題を解決する引き換えとして、日本政府は1円も中国政府に支払っていない事について、韓国メディアはほとんど触れない。巨額な資金を払って請求権問題を解決した韓国と、1円も払っていない中国の事例を同一視するのは無理がある。
さらに言えば、韓国大統領府は今年1月、こうした「日韓企業による基金案」を「発想自体が非常識だ」と定例会見の場で全否定しているのだ。大統領府が全否定したのに、韓国政府の対応策として発表するのは、支離滅裂と言われても反論できないのではないか。また「財源を出す」という表現になっているが、実際にやるとなれば財源を集めて「財団」なりを作らなければ補償作業ができない。財団と言えば、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」する事で合意した2015年の日韓合意の中核である「和解・癒し財団」を思い出さざるを得ない。韓国政府はこの財団の解散を一方的に決め、国家間の約束を無効化したばかりだ。その韓国政府が、再び困難な日韓間の問題解決で「財団」のような方式を提案しても、問題が解決すると考える日本人は、ほぼいないだろう。
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190619-00010009-fnnprimev-int
2019-06-19 11:14:00Z
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