【ソウル=永沢毅】トランプ米大統領は30日午後、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と韓国と北朝鮮を分け隔てる非武装地帯(DMZ)にある板門店で面会した。トランプ氏は南北の軍事境界線を越え、出迎えた金正恩氏と握手した。現職の米大統領が北朝鮮側に足を踏み入れたのは初めて。
トランプ氏は「いま軍事境界線を越えたことは大変光栄だ。大きな前進だ」と述べた。金正恩氏は「私たちの土地を踏んだ初の米大統領になるだろう。過去を清算し未来に向かいたい。しばらく話し合いたい。前向きなことが起きている」と述べた。
米朝首脳が会うのは2月末のベトナム・ハノイでの首脳会談以来、3回目。トップ同士の直接の話し合いを通じ、膠着状態にある非核化交渉の打開をめざす。
これに先立ちトランプ氏は30日午前、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と青瓦台(韓国大統領府)で会談した。その後の共同記者会見で、非核化交渉について「急いでいない。制裁は続いている」と語った。
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トランプ氏によると、オバマ前政権も米朝首脳会談の調整を進めようとしたが、オバマ前大統領との会談を金正恩氏が拒否したという。
文氏は記者会見で「朝鮮戦争の休戦協定から66年ぶりに米朝が板門店で会う。面会は平和への道しるべになるだろう」と述べた。これに先立つ会談の冒頭では米朝首脳の接触は「誰もにとって大きな希望だ。その姿だけでも歴史的場面となる」と指摘。さらに「朝鮮半島の完全な非核化と恒久平和の大きな足がかりとなる」と語った。
トランプ氏は29日、金正恩氏にDMZでの面会をツイッターで呼びかけた。20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席後の大阪市内での記者会見では「金正恩氏と会うかもしれない。彼らは前向きな反応を示している」と表明していた。
米朝首脳は2018年6月にシンガポールで初めて会談。(1)新たな米朝関係の確立(2)朝鮮半島の平和体制の構築(3)完全な非核化(4)朝鮮戦争で亡くなった米兵の遺骨収集――の4つからなる共同声明を発表した。
ただ、2回目のベトナムでの米朝首脳会談は非核化の進め方と見返りを巡って対立した末に決裂に終わり、非核化交渉は暗礁に乗り上げていた。6月に入って米朝首脳間で親書や書簡のやり取りがあり、交渉再開をめざす動きがでていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46779520Q9A630C1MM8000/
2019-06-30 06:46:00Z
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