【北京=羽田野主、ソウル=恩地洋介】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は20日、北朝鮮を公式訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談した。大阪で6月28~29日に開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、両国の伝統的な友好関係を誇示する。中国が朝鮮半島情勢に積極的に関わる姿勢を示し、非核化交渉が停滞する米朝の対話を促す狙いがある。
中国国家主席の訪朝は2005年10月の胡錦濤(フー・ジンタオ)氏以来14年ぶり。習氏は13年に主席就任後で初めての訪問となる。
中国国営の新華社によると、習氏は20日午前、専用機で北朝鮮の首都・平壌に到着した。金氏は、李雪主夫人とともに平壌国際空港で習氏を出迎えて握手を交わした。
習氏には彭麗媛夫人が同行。中国外交統括役の楊潔篪共産党政治局員、王毅外相、何立峰国家発展改革委員会主任らが随行している。21日まで滞在する。
朝鮮労働党機関紙、労働新聞は20日付けの1面の社説で「習近平同志を喜んで熱烈歓迎する」と強調した。両国の「血縁のような絆」を強調。中朝友好は「朝鮮半島と地域の平和や安定を守るための礎になる」とした。
今回の首脳会談の最大の焦点は非核化に向けた協議だ。北朝鮮は核施設などを段階的に廃棄する「段階的非核化」を主張。非核化の進み具合に応じて国連安全保障理事会の決議に基づく経済制裁を緩めるように求めている。
習指導部は北朝鮮の主張する段階的な非核化に理解を示してきた。習氏は20日付の中国共産党の機関紙、人民日報1面に「朝鮮半島の問題を正しく解決する姿勢の北朝鮮を支持する」との文章を掲載した。
今年1月の中朝首脳会談で習氏は「朝鮮半島の非核化のため積極的、建設的役割を果たす」と表明したが、今回はまだ「非核化」という言葉を使っていない。一方で今回は「遠大な計画」の策定に意欲を示しており、北朝鮮への刺激を避け連携を重視した可能性がある。
一方でトランプ政権は完全な非核化が実現するまで経済制裁の緩和には応じない構え。米朝の隔たりは大きい。
金正恩委員長は膠着状態の続く米朝交渉再開に向けた協力を求める見通し。習指導部にとって北朝鮮問題は対米けん制になると同時に、米中協調の呼び水にもなる有力な外交カードだ。米中貿易戦争が続くなか、中国は米朝問題の対話を通じた解決を促し、自らの存在感を高める狙いがある。
北朝鮮は中国に経済援助を求める可能性がある。韓国は既に世界食糧計画(WFP)を通じてコメ5万トンの対北朝鮮支援を決定した。北朝鮮では干ばつによる食糧不足が取り沙汰されており、「人道支援」を名目に中国が応じる可能性がある。
習氏は訪朝前に「金正恩委員長が経済発展に専念するのを強く支持する」と表明した。国連安保理決議に基づく経済制裁に抵触しない範囲で、中国人観光客の後押しや人材交流などを検討する。
今年は中朝国交樹立70年で、金正恩委員長は習主席を大規模な歓迎式や夕食会でもてなす予定だ。習氏は中国人民志願軍の朝鮮戦争参戦(1950年)をたたえる平壌の「朝中友誼(ゆうぎ)塔」も訪れる。
ただ、習氏の1泊2日の平壌の滞在は、過去に訪朝した中国主席と比べると短い。2000年代に訪朝した江沢民(ジアン・ズォーミン)、胡錦濤両氏はいずれも2泊3日だった。以前と比べた中朝関係の希薄さは否めない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46352180Q9A620C1EA1000/
2019-06-20 08:34:00Z
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