香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は18日、記者会見し、香港から中国本土の司法当局への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を事実上、撤回した。15日に「延期」を表明したが市民の反発はむしろ強まっていた。行政長官の辞任は否定した。香港市民にとっては勝利だが、林鄭氏の辞任を求める声はさらに高まっており、市民によるデモは継続しそうだ。
林鄭氏は「15日には延期すると言ったが、ここでさらに約束する」と述べたうえで、「市民が改正案について抱く不安や恐怖、意見の相違を解消する自信がない限り、審議を再開することはない」と強調した。また、来年7月までに可決しなければ改正案が廃案となる点にも触れ「期限までに間に合うとは考えられない。政府はこの現実を受け入れる」とも語った。政府に近い香港紙「星島日報」によると、林鄭氏は17日、教育、宗教関係者らとの会合で、2022年までの任期中に「条例改正を再び提起することはない」と述べていた。
林鄭氏は12日に機動隊がデモ隊をゴム弾などで攻撃したことを15日の会見で「適切だった」とし、このデモを「暴動」と批判した。これによって林鄭氏への反発はさらに拡大。9日の「103万人デモ(主催者発表)」に続き16日には「約200万人(同)」と史上最大規模のデモが続いていた。
林鄭氏はこうした市民の怒りを招いたことについて「心から深くおわびしたい」と謝罪した。一方で「残り3年の任期は極めて難しいものになるが、市民の生活改善や経済向上のため力を尽くす」と述べ、辞任は強く否定した。
香港政府が事態の収拾を急ぐ背景には、月末に大阪である主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、中国の習近平国家主席が香港の問題を巡って批判にさらされる事態は避けたいとの中国政府の意向があるとみられる。香港政府は、習近平指導部の了承を得て、こうした方針を決めた模様だ。
ただ、中国政府は条例改正を支持する立場は崩していない。改正が撤回され、林鄭氏の退任まで事態が進めば、習指導部がメンツを失う形になるためだ。実際、林鄭氏はこの日の会見で「撤回」を明言せず、辞任要求にも応じなかった。香港政府は今後も、抗議運動と中国政府の間で難しいかじ取りを迫られるとみられる。【香港・福岡静哉、北京・河津啓介】
https://mainichi.jp/articles/20190618/k00/00m/030/278000c
2019-06-18 13:32:00Z
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