米国防総省の機密文書が多数流出した問題で14日、連邦捜査局(FBI)に逮捕されたマサチューセッツ州の空軍州兵ジャック・テシェイラ容疑者(21)は同州ボストンの連邦地方裁判所に初出廷し、スパイ法違反で起訴された。罪状認否は行わなかった。
スパイ法に違反し、機密文書を権限なく持ち出し、保管した罪で起訴されたテシェイラ被告は、機密文書持ち出しについて最高10年、機密文書の保管について最高5年、禁錮刑を言い渡される可能性がある。
被告は茶色い上下の留置服に手錠と足かせをはめられた状態で入廷。米CNNによると、着席時には手錠は外されていた。
BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、この日の審理が終わると、傍聴席から「愛してるよ、ジャック!」との声が上がった。CNNによると、被告は振り返らなかったものの、「パパ、ぼくもだよ」と答えた。
被告は空軍州兵の情報部門に所属。機密文書の流出先となったオンラインのゲーム・チャットグループのリーダーだったとされている。空軍州兵は米空軍の予備部隊に相当する。
流出した機密文書には、ロシアによるウクライナ侵攻に関する最高機密指定の内容をはじめ、韓国などアメリカの同盟諸国の情勢、アメリカの国防上の機密などが含まれていた。このため、アメリカ政府の機密保持体制がはたして万全なのか疑問視される、アメリカにとっては屈辱的な事態となった。
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ジョー・バイデン米大統領は声明で、機密の流出元を特定した「素早い行動」を称賛。「文書の信ぴょう性を確認している最中だが、機密性の高い情報をこれまで以上に厳重に管理し、その配布先を制限するよう、軍と情報諸機関に指示した。国家安全保障チームは協力国や同盟国と緊密に連携している」と述べた。
「最高機密」取り扱い権限
数カ月前から50~100点以上の機密文書が、ゲーム愛好家に人気のソーシャルメディア「ディスコード」に投稿されていた。参加者は政治外交問題や戦争を話題にすることが多く、テシェイラ被告はサイトの管理人だった。
14日の法廷ではFBIのパトリック・ルーケンホフ特別捜査官が、被告の宣誓供述書を提出。それによると、被告は昨年12月から流出文書を投稿し始めた。当初は、テキストを段落ごとに投稿していたものの、今年1月からは文書を撮影した写真を投稿するようになったという。
機密文書がチャットルームの外に投稿されるようになって初めて、国防総省の関係者は情報漏洩(ろうえい)に気づき、流出元を探し始めたという。
テシェイラ被告は、マサチューセッツ州のオーティス空軍州兵基地で情報部門のIT専門官として働いていた。訴状によると、階級は比較的低い位の1等空兵で、ネットワークの保守・管理担当者としての肩書がついている。
宣誓供述書によると、テシェイラ被告は2021年以降「最高機密」を取り扱う権限を与えられていた。権限付与の際には、「そこで知り得た内容は終生開示しないと約束する合意書に署名した」はずだという。
FBIのルーケンホフ特別捜査官はさらに、被告が最高機密取り扱い権限を得た際に、「機密情報を許可なく公表すれば刑事訴追されると了承したはず」だとも説明した。
宣誓供述書によると、被告はさらに国防総省文書の流出が最初に報道された4月6日、政府支給のコンピューターで「流出」という用語を使い、機密情報を検索したという。
検察はこれについて、流出情報の出どころについて米情報機関が身元を特定していないか被告が調べようとしていたのだと主張した。
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2023-04-15 00:48:49Z
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