<戦火を逃れ命からがら到着したウクライナ難民は、主に3つの異なるステータスでアメリカに滞在している。将来の見通しがつかない不安と期限切れの不安...>
ラリーサ・アタマスはつい最近まで、今年4月にアメリカでの滞在期間が切れたら9歳の息子を連れてどこに行ったらいいのか分からなかった。分かっているのはただ1つ。家族で平穏に暮らしていたウクライナ北東部のハルキウ(ハリコフ)には帰れないことだけだ。
ロシアがウクライナに侵攻を開始し、過去100年間で最大級の難民の大量移動を引き起こしてから1年2カ月近くたつ。
戦火のやまない祖国を後にしたウクライナ難民は800万人超。うち27万人以上がアメリカに渡り、さらにそのうちざっと2万人はアタマス同様、連邦政府が昨年4月に緊急対策として打ち出した1年間の期限付きの「人道的臨時入国許可」制度で入国した。彼らの目の前には期限切れが迫っている。
「この先どうなるのか不安でたまらない」。3月に取材したときアタマスはそう訴えた。彼女の期限は4月16日だ。
アメリカが受け入れたウクライナ難民は主として3つの制度を利用して入国した。アタマスが利用した臨時許可、それに「一時的保護ステータス(TPS)」と「ユナイティング・フォア・ウクライナ(U4U)」だ。
この3つのうち、臨時許可で入国した人は最も不安定な立場に置かれ、認められた権利は最も少なく、許可された滞在期間も最も短い。
ウクライナ難民がTPSで入国できたのは昨年4月11日までだ。そしてバイデン政権がU4Uをスタートしたのは4月25日。その間にメキシコとの国境を越えてアメリカに入国したウクライナ人には1年の期限付きの臨時入国許可が与えられた。
U4Uの入国者は2年間滞在できる。TPSの入国者の滞在期間は1年半だが、祖国で紛争や政情不安が続いている場合は、送還される心配はない。臨時許可にはこうした保証はない。
臨時許可で入国した人もフードスタンプ(食料配給券)、メディケイド(低所得者医療保険制度)、一時現金支援を受けられ、就労許可を申請できるが、難民認定された人たちと違って、市民権の申請には道が開かれていない。
滞在期限が切れる人が出始めるのは4月11日。そのタイムリミットまで1カ月を切った3月13日に、米国土安全保障省(DHS)はようやくこの問題に対処する姿勢を見せた。
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2023-04-20 05:25:02Z
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