ロシア西部サンクトペテルブルクのカフェの爆発で戦争支持のブロガーが死亡した事件で、当局は3日、拘束した女性の取り調べ映像を公開した。また、爆発はウクライナが仕組んだものだと示す証拠があると発表した。
ロシア第2の都市で2日夕に発生した爆発では、30人以上が負傷した。現場となったカフェでは愛国者だとする人たちの集会が開かれ、、ウラドレン・タタルスキー(本名マクシム・フォミン)氏がゲストとして参加していた。
捜査当局は3日、タタルスキー氏は殺害されたとし、ダーリャ・トレポヴァ容疑者(26)を事件に関与した疑いで拘束した。
当局が公開した取り調べの映像では、トレポヴァ容疑者は爆発した像をタタルスキー氏に手渡したことを認めている。ただ、この証言は強要された可能性が高い。
容疑者は爆発が起こると知っていたとは言っていない。また、像を手渡す以上の役割を担っていたとも述べていない。
ソーシャルメディアでは、茶色のコートを着た若い女性が段ボール箱を持ってカフェに入ったように見える映像が拡散された。
カフェ内で撮影されたとみられる複数の画像では、この女性が腰を下ろす前に、テーブルの上に箱が置かれている。また、別の映像には、タタルスキー氏に像が手渡される場面が映っている。
取り調べ映像
ロシア当局が公開した取り調べの一部の映像では、トレポヴァ容疑者は何度もため息をついており、脅されていた様子がうかがえる。
取り調べ官から拘束された理由が分かるかと尋ねられると、容疑者は「ウラドレン・タタルスキー殺害の現場に居合わせたからだろう。(中略)爆発した像は私がそこに持っていった」と話している。
誰がそれを渡したのかとの質問には、「後で話させてください」と述べている。
ウクライナと反体制派を非難
ロシアの国家対テロ委員会は、今回の「テロ攻撃」がウクライナの特殊部隊によって仕組まれたとし、野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏と「協力する人々」も絡んでいたと主張した。
同委員会はその後、さらに踏み込み、「ウクライナ領内で計画、準備された」証拠があると説明。関係者の「すべてのつながり」の明確化を進めていると付け加えた。
ウクライナ当局は、事件はロシアの内紛によるものだとしている。
ナワリヌイ氏が率いる「反汚職基金」(FBK)は、同氏が近く、過激思想に関する罪で裁判にかけられる予定だとし、そのタイミングでロシア政府が反体制派を非難するのは「非常に都合がよい」ことだとした。FBKはこれまで、ウラジーミル・プーチン大統領の側近らの汚職を明らかにしている。
ナワリヌイ氏は、2021年1月にドイツからロシアに帰国して以来、刑務所に収監されている。2020年8月にはロシアで神経剤で襲われたが、一命を取り留めた。この事件はロシア連邦保安庁(FSB)の工作員によるものとされる。
FBKのイワン・ジダーノフ代表は、ロシア当局の主張はすべて、FSB工作員の関与を示すものだと述べた。そして、「当然、私たちは今回のことに一切関係していない」とし、ロシアはウクライナという外敵と、ナワリヌイのグループという内敵を必要としているとした。
プーチン氏がブロガーに死後勲章
ロシアの報道によると、トレポヴァ容疑者は、夫の友人が所有するサンクトペテルブルク市内のアパートで拘束された。
ロシアが昨年、ウクライナの本格侵攻を開始した日には、トレポヴァ容疑者は反戦デモに参加したとして拘束され、数日間捉えられたとされる。
事件のあったカフェ「ストリート・フード・バーNO.1」は、悪名高い雇い兵組織「ワグネル」を率いるエフゲニー・プリゴジン氏がかつて所有していた。ワグネルはウクライナ東部バフムートでの戦闘に大きく関わっている。
プリゴジン氏は、このカフェを「ロシアの情報部隊」を自称するグループ「サイバー・フロントZ」に譲っており、このグループが事件のあった夕、カフェを貸していたと話した。
プーチン大統領は3日、タタルスキー氏に死後の勇敢勲章を授けた。
タタルスキー氏の人物像
ロシアのウクライナでの戦争を声高に支持してきたタタルスキー氏は、ロシア政府関係者でも軍人でもなかった。フォロワーが50万人以上いる有名ブロガーで、プリゴジン氏と同様、犯罪歴があった。
ウクライナ東部ドネツク州の出身。凶器を使った強盗の罪で服役していたが釈放され、ロシアが支援するウクライナ分離主義組織に加わったとしていた。
昨年2月にロシアが本格的なウクライナ侵攻を始めると注目を集めるようになった、親ロシアの軍事ブロガーのコミュニティーの一員だった。
ロシアでは、当局や政府系メディアの情報は不正確だとして多くの国民が不満を抱えており、軍事ブロガーらが独自に戦争関連の情報を提供している。
タタルスキー氏は戦場でのロシア軍の失敗について、ロシア当局や軍、プーチン氏をも非難していた。
自ら戦闘に参加し、前線から報告した。戦闘用ドローンの発射や、要塞(ようさい)の建設に携わったとしていた。
昨年9月にプーチン氏がウクライナ4州の一方的併合を宣言した際には、ロシア大統領府内での式典で動画を撮影。その中でタタルスキー氏は、「我々はすべての人を倒し、すべての人を殺し、必要に応じてすべての人から奪う。私たちが好きなようにね」と、フォロワーに語っていた。
ワグネル創設者の見解
タタルスキー氏の殺害は、戦争の強硬な支持者でロシアの超ナショナリストの娘だったダリヤ・ドゥーギン氏の殺害を思い起こさせる。彼女は昨年8月、モスクワ近郊であった自動車爆発で死亡した。
ロシア当局はタタルスキー氏を死亡させた爆発について、ウクライナの責任だと強く主張。一方、ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、爆発はロシアの「政治的内紛」の一幕だとし、「クモがつぼのなかでお互いの脚を食い合っている」とツイートした。
ウクライナはここ数カ月、ロシア領内の奥深くでドローン攻撃や爆発を起こせることを証明してきた。ウクライナが関与を認めることはほとんどないが、ヒントを残すことはよくある。
ワグネル創設者のプリゴジン氏は、今回の爆発がウクライナ政府によるものだとは思わないと発言。「過激派のグループが活動していると思うが、(ウクライナ)政府と関係がある可能性は低い」とした。
今回の爆発は、ロシアの政治的内紛に関係している可能性がある。ロシアでは現在、怒りを抱え、銃を持っている人が大勢いる。
軍の兵力が不足しているため、ロシア当局は刑務所から囚人を釈放し、武器を渡して前線に送っている。また、志願兵の大規模募集を実施しているほか、「部分動員」で約30万人の兵士を集めた。
ロシア紙コメルサントは最近、国内で起きた殺人事件が昨年、20年ぶりに増加したと報じた。
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2023-04-04 03:02:41Z
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