フランスの憲法院は14日、政府が進める年金制度改革について法案を合憲と判断した。エマニュエル・マクロン大統領が15日、同法案に署名し、成立させた。年金支給開始年齢が現行の62歳から64歳に引き上げられる内容に、今年1月から国内各地で激しい抗議行動が続いている。パリ警察によると、14日夜の逮捕者は112人に上る。
国民の抗議が続く事態を受け、マクロン大統領には対話の用意があると政府は主張していたが、大統領は15日、年金制度改革法案に署名・成立させた。オリヴィエ・デュソプト労働相は、9月初めには制度改革が実施されるだろうと話している。
マクロン大統領が進める年金制度改革について、政府は3月、関連法案を議会下院で採決せず、無投票で採択した。これについて野党が反発し、法律の合憲性を判断する憲法院(裁判官9人)に審査を委ねていた。
憲法院は14日、この法案について大部分を合憲と判断した。従業員1000人以上の企業に55歳超の雇用促進を求めるなどの改革案は、認めなかった。野党の左派勢力は改革案に対する国民投票の実施を求め、2件の申し立てを憲法院に提出していた。このうち1件はこの日に却下されたが、別の1件については来月初めに引き続き検討するという。
マクロン大統領は、年金制度の維持に改革は不可欠だと主張。エリザベット・ボルヌ首相は14日夜、「この夜、勝者はいないし敗者もいない」とツイートした。
デュソプト労働相は、年金支給開始年齢の引き上げに伴う高齢者の経済状態への懸念を払しょくするため、50歳以上の就業率を引き上げる対策をとると公約している。
合憲判断にやじ
パリの憲法院での抗議を警察当局は15日朝まで禁止していたものの、14日にはその近くに大勢が集まり、年金制度改革への抗議を続けた。改革法案を合憲とする判断が明らかになると、大勢がやじの声を上げた。改革が撤回されるまで抗議を続けると連呼する人たちもいた。
憲法院の周りにはフェンスが設けられ、デモの激化に備えて機動隊が配備された。
パリ市内の複数の場所で火がつけられ、機動隊は催涙ガスを使うなどして事態の収拾にあたった。パリ警察によると、14日夜の逮捕者は112人に上る。
フランス西部レンヌやナントでも抗議中に火が燃やされ、南東部リヨンではデモ隊と警察が対峙(たいじ)する緊迫した場面もあった。
パリ市役所前で抗議を続けたルーシーさん(21)はBBCに対して、「私たちにはもうなんの力もない」と落胆した様子で話した。「どれだけ大声で叫んでも誰も聞いてくれない」とルーシーさんは言いつつ、今後も反対を続けると述べた。
27歳のルカスさんは将来が不安だと言い、マクロン氏が在任中にほかに何をするつもりなのか心配だと話した。
「闘い」は続く=野党リーダー
年金制度改革に反対する労組連合は、5月1日のゼネストに参加するよう全国の労働者に呼びかけている。
年金制度改革法案の審査を憲法院に申し立てた左派連合「新人民連合環境・社会(NUPES)」を率いるジャン=リュック・メランション氏は、「闘い」は続くと強調。「憲法院の判断は、主権国民の要請よりも、君主のような大統領の要請を重視していると示した」と批判した。
極右政党「国民連合」を率いるマリーヌ・ル・ペン氏は、「年金改革の政治的運命はまだ決まったわけではない」とソーシャルメディアに書いた。国民連合も、改革法案についての審査を憲法院に求めていた。
フランスの政治評論家アントワーヌ・ブリステイエル氏はBBCに対して、1月から国内各地で続く抗議は当面、終わらないだろうと話した。
「改革法案は可決されるし、憲法院も合憲と判断するだろうというのがこれまでの大方の予想だったので、この結果は意外ではない。それでもこれから週末にかけて、各地で暴動やストライキが相次ぐと思う。今も国民の7割が、改革に反対しているので」
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2023-04-15 03:00:17Z
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