【ソウル=桜井紀雄、ワシントン=坂本一之】韓国と北朝鮮の軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)の共同警備区域(JSA)で18日、在韓米軍の兵士が北朝鮮側に越境する事件が起きた。米政府は北朝鮮に身柄を確保された米兵の扱いを巡り、北朝鮮の朝鮮人民軍と接触。北朝鮮の核・ミサイル開発の加速でただでさえ関係が冷え込む中、米兵越境問題は米朝外交上の火種としてくすぶる可能性もある。
オースティン米国防長官は18日の記者会見で、JSAを巡る見学ツアー中に越境したのが米兵だと認めた上で「故意に許可なく越えた」とし、北朝鮮に拘束されているとの見方を示した。米ホワイトハウスによると、国防総省側が朝鮮人民軍と接触しており、兵士の解放に向けて交渉を要請した可能性がある。
韓国紙は、在韓米兵の亡命だとすれば、1965年に越境後、拉致被害者の曽我ひとみさんと結婚した故チャールズ・ジェンキンスさん以来だと伝えた。
米メディアがJSAツアー参加者の話として報じたところでは、越境した男は突然、大きく「ハハハ」と笑うと、北朝鮮側に走っていった。ツアーガイドが追いかけたが、間に合わず、男は朝鮮人民軍の兵士らに取り押さえられた。
米軍当局者や米メディアによると、越境したのはトラビス・キング2等兵(23)。暴行容疑で韓国の拘置施設に一時収監。17日に仁川(インチョン)国際空港に移送されたが、保安検査通過後、1人になった隙に空港を抜け出したとみられている。本国で軍の懲戒処分を受けることになっており、「米国に戻りたくない」と漏らしていたとも報じられた。
JSAツアーへの参加には事前申請が必要で、周到に計画した越境だった可能性がある。事件を受け、19日に予定されていたJSAツアーは中止となった。
米政権は民主党、共和党の違いなく、北朝鮮に抑留された自国民の解放に最優先で取り組んできた。クリントン元大統領は2009年、女性記者2人の解放のために訪朝し、金正日(キム・ジョンイル)総書記と会談して2人の解放を実現。トランプ前大統領は18年の米朝首脳会談に先立ち、北朝鮮に拘束中だった米国人3人を解放させた。今回は懲戒逃れの越境だった可能性があるものの、国務省のミラー報道官は「外国にいる米国人の安全は最優先事項だ」と強調した。
ただ、北朝鮮の金正恩(ジョンウン)政権は、韓国と対北核抑止力の強化で臨むバイデン政権との対話を拒む姿勢を鮮明にしてきた。北朝鮮は越境について公式な反応を示しておらず、解決まで長引く恐れは否定できない。北朝鮮が兵士の扱いに限って交渉に応じたとしても、本格的な対話の呼び水になる可能性は現状では高くない。
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2023-07-19 10:23:44Z
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