Senin, 15 Januari 2024

社説:超える’24 危機下の日本外交 国際秩序の再生へ行動を - 毎日新聞

日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との友好協力関係50周年特別首脳会議に臨む各国首脳=東京都港区のホテルオークラ東京で2023年12月17日午前10時10分(代表撮影) 拡大
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との友好協力関係50周年特別首脳会議に臨む各国首脳=東京都港区のホテルオークラ東京で2023年12月17日午前10時10分(代表撮影)

 世界各地で武力紛争が発生し、大国同士の対立も深刻化している。さらなる混迷を避けるためにどんな役割を果たせるのか。日本の外交力が試される1年となる。

 国際情勢はかつてないほど厳しい。ロシアによるウクライナ侵攻と、パレスチナ自治区ガザ地区での軍事衝突は出口が見えないままだ。中国を「唯一の競争相手」と位置付ける米国は、二つの紛争への対応で力をそがれている。

 11月には米大統領選がある。バイデン政権は同盟国、友好国と連携することで「力による一方的な現状変更」の抑止を目指してきた。「米国第一主義」を掲げるトランプ前大統領が返り咲けば、その路線は行き詰まる恐れがある。

高まる米国追従リスク

G7サミットの記念撮影を終えて移動する(左から)ショルツ独首相、バイデン米大統領、岸田首相、ウクライナのゼレンスキー大統領、マクロン仏大統領=広島市南区のグランドプリンスホテル広島で2023年5月21日午前10時44分(代表撮影) 拡大
G7サミットの記念撮影を終えて移動する(左から)ショルツ独首相、バイデン米大統領、岸田首相、ウクライナのゼレンスキー大統領、マクロン仏大統領=広島市南区のグランドプリンスホテル広島で2023年5月21日午前10時44分(代表撮影)

 米中対立が長期化する中、東アジアの平和と安定を確保することが日本にとってますます重要になっている。

 日本は長年、米主導の国際秩序と自由貿易の恩恵を享受してきた。秩序が崩れ、岸田文雄首相が言う「強い国が弱い国を軍事的・経済的に威圧する弱肉強食の世界」になれば、これまでのような繁栄は続けられなくなってしまう。

 米国のように強大な軍事力を持たず、経済面でも国内総生産(GDP)でドイツに抜かれ、世界4位に転落する見通しだ。影響力は相対的に低下しているが、持てる力を総動員し、世界の安定に寄与することが求められている。

 まず取り組まなければいけないのが、国際ルールに対する信頼の回復だ。

 日本を含む主要7カ国(G7)は、国連安全保障理事会の常任理事国ロシアによるウクライナへの侵攻を、「法の支配」への挑戦だと非難してきた。一方で欧米諸国は、ガザ地区攻撃を続けるイスラエルには及び腰で、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国から「二重基準」との反発を受けている。

 法の支配を確かなものとするには、発言力を増すグローバルサウスとの連携が欠かせない。欧米諸国の姿勢に対する新興国・途上国の反感を理解しつつ、自国の安全や経済成長には国際秩序の安定が大前提だと伝え続けなければならない。国際協調の要である国連の機能強化にも尽力すべきだ。

 米国が「内向き志向」を強める事態にも備えなければならない。東アジアへの関与継続を強く促すとともに、価値観を共有する韓国やオーストラリア、欧州、インドなどと連携し、安全保障関係の重層化を図る必要がある。東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力も極めて重要だ。

 こうした取り組みを進めながら、中国との対話を重ねるべきだ。首脳間、閣僚間で定期的に意見交換し、中国自身も既存のルールや国際秩序から利益を得ている面があると指摘し続ける必要がある。

中国との対話が重要だ

訪中して毛沢東(右端)と会見する石橋湛山夫妻=1959年9月 拡大
訪中して毛沢東(右端)と会見する石橋湛山夫妻=1959年9月

 米中両国と深い結び付きを持つ日本にとって最悪のシナリオは、両国の対立が軍事衝突を招き、それに巻き込まれることだ。緊張の高まりを防ぐためにも、経済安全保障上の米国の懸念に配慮しつつ、日中の共通利益を追求していく努力が求められる。

 冷戦初期、大国同士の対立緩和に向け、日本が主体的に行動すべきだと訴え続けた政治家がいた。今年生誕140年を迎える石橋湛山元首相だ。

 1956年に首相に就くと「自主独立の平和外交」を唱え、米国と緊密に連携しつつ追従は避け、中国との関係強化に取り組む方針を打ち出した。退任後は国益と世界の平和を両立するため「日中米ソ平和同盟」を提案し、各国が共存する以外に「日本の生きる道は見いだし得ない」と訴えた。

 理想を掲げ、それを実現する現実的な手段をとことんまで探り続けた。大国同士の衝突回避という難題に取り組まなければならない今の日本にこそ、そうした大胆な発想が必要ではないか。

 岸田首相は「新時代リアリズム外交」を打ち出してきた。だが、未来を見据える大局的な視点は乏しく、状況の変化への対応に終始してきたように見える。

 激動の時代に追求すべきなのは、力にものを言わせる強国本位の安定ではない。大小問わず全ての国が平等に扱われ、安全が保たれる世界に向けた取り組みだ。

 その理想に少しずつでも近付いていくため、主体的な外交を全力で展開することこそ、平和国家としての日本の使命のはずだ。

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2024-01-15 17:02:51Z
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