シリア政府支配地域、シャーム解放機構支配下の「解放区」、トルコ占領地で、所属不明の無人航空機(ドローン)による爆撃が後を絶たない。狙われているのは、シャーム解放機構、イスラーム国、「イランの民兵」だ。
北東部(解放区)での爆撃
シリア北西部のいわゆる「解放区」では、7月17日にイドリブ県のサルマダー市にあるワタド石油社の燃料販売所が所属不明のドローンの攻撃を受けた。
ワタド石油社は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」で、灯油、ガソリンといった燃料の取引を牛耳る組織。
シャーム解放機構に近いEbaa.newによると、攻撃による死傷者はなく、物的被害にとどまったという。
中部(政府支配地)での爆撃
英国に拠点を置く反体制系NGOのシリア人権監視団によると、同じく7月17日、政府の支配下にあるハマー県南東部のサラミーヤ市近郊の上空に、所属不明のドローンが飛来、同地に展開する「イランの民兵」の拠点複数カ所を爆撃し、複数回にわたって爆発が発生した。
一方、ヒムス県スフナ市近郊の砂漠地帯では、7月18日、シリア軍と親政権民兵がイスラーム国と交戦、ロシア軍が同地を爆撃した。
ヒムス県スフナ市近郊の砂漠地帯と、ハマー県イスリヤー村東に位置するアレッポ県、ラッカ県との県境地帯では、最近になってイスラーム国が活発な動きを見せており、シリア軍とロシア軍がその掃討にあたっている。
南東部(政府支配地)での爆撃
「イランの民兵」を狙った爆撃は、ダイル・ザウル県南東部のブーカマール市に近いユーフラテス川西岸でも行われた。
反体制系サイトのSMART Newsによると、同地では7月17日、所属不明の戦闘機が「イランの民兵」の拠点3カ所を爆撃し、数十人が死傷した。
また、シリア人権監視団によると、18日にも同地の「イランの民兵」の拠点複数カ所で爆発が発生した。
爆発は爆撃によるものだという。
北部(トルコ占領地)での爆撃
アレッポ県では、シリア人権監視団によると、所属不明のドローン1機が7月20日、トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」のアフティームラート村の北で車を攻撃した。
これにより、イスラーム国の司令官やメンバーと思われる3人が死亡した。
爆撃を行ったのは米主導の有志連合だと見られる。
南部(政府支配地域)での爆撃
シリア軍筋は、20日午後21時48分、イスラエル軍戦闘機が占領地ゴラン高原上空からダマスカス県の南方をミサイル攻撃、これに対してシリア軍防空部隊が迎撃したと発表した。
防空部隊の迎撃により、ミサイルのほとんどは撃破されたが、一部が着弾し、兵士7人が負傷したという。
これに関して、反体制系のEldorarは、攻撃が8回にわたって行われ、マッザ航空基地、ダマスカス郊外県キスワ市、サフナーヤー市一帯に展開する「イランの民兵」、レバノンのヒズブッラーの拠点が標的となり、イラン・イスラーム革命防衛隊シリア東部地区司令官のアリー・ハーッジ・フサイン氏ら「イランの民兵」やシリア軍の将兵多数が死亡したと伝えた。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)
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2020-07-21 00:44:39Z
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