世界貿易機関(WTO)は29日、韓国政府が日本の輸出管理厳格化を巡って申請した紛争処理小委員会(パネル)を設置した。日本政府は2国間対話での解決を求めてきたが、国際機関による調停手続きに移り、両国の対立は長期化と一段の深刻化が決定的となった。
パネル設置は、29日の会合で加盟国・地域が全会一致で拒否しない限り自動的に設置されるとのWTOの規定に基づき決定された。日本政府は同日夜、この会合で「パネルではなく対話こそが最善かつ唯一の解決方法だ」として、韓国側の姿勢を批判したことを明らかにした。
パネルは裁判の1審に当たり、両政府は今後、それぞれの主張を意見書として提出し、今秋にもWTOが選定した専門家から聴取を受ける方向だ。日本政府は「輸出管理措置はWTOのルールにのっとっている」との従来の立場を改めて主張する見通しだ。具体的には、兵器などに転用される可能性のある製品や技術の輸出は厳格に管理する必要があり、今回の措置もWTOが認める安全保障上の対応だとする内容とみられる。
両国の対立は、日本政府が昨年7月に半導体関連の3品目に関して対韓輸出に申請を義務づけたことがきっかけだ。日本側は「韓国の輸出管理で不適切な事案があった」としたのに対し、韓国は政治的な理由に基づく貿易制限でWTOルール違反だと反発している。
韓国は昨秋にWTOに日本を提訴したが、一時はその手続きを中断して日本側が求める2国間での対話による解決も期待された。その後、韓国側が日本側に早期の輸出管理の緩和を迫ったことで協議は平行線をたどり、今年6月に韓国がWTOにパネル設置を要請する事態に至った。
韓国政府は、8月末に退任するロベルト・アゼベド事務局長の後任を選ぶ選挙に自国の通商担当幹部を立候補させている。WTOへの影響力強化を図る動きの一環とみられ、パネルでの審理でも歩み寄りの気配はない。
パネルでは、1年~1年半程度かけて判決に相当する最終報告をとりまとめる方針だ。だが、報告内容にかかわらず、日韓政府のどちらかが不服を申し立て、裁判の最高裁判所にあたる上級委員会での審理に持ち込まれる可能性がある。上級委は、WTO改革を求める米国の反対で委員の欠員が生じており、最終的な判断が示されるまで長期化するとの見方が強まっている。
上智大の川瀬剛志教授(国際経済法)は、「前例が少ない審理であり、パネルで日本の主張がどのように判断されるか見通しにくい案件だ」と注目する。
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2020-07-29 23:12:46Z
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