【台北=矢板明夫】台湾の李登輝元総統の死去から一夜明けた31日、台湾の総統府は李氏の葬儀に関する会議を開いた。蔡英文総統は多くの海外要人を招いて、台湾への圧力を高める中国を牽制(けんせい)したい考えとみられるが、新型コロナウイルス流行の中では困難が伴う。一方、中国側は「民主化の父」をめぐる台湾の弔問外交を警戒しているようだ。
葬儀に関する会議には李氏の家族代表や外交部(外務省に相当)、国防部(防衛省)の関係者らが出席した。キリスト教式で行う方針はほぼ固まったが、葬儀に海外の要人を招くか否かについては結論が出なかったもようだ。
台湾当局の関係者によれば、李氏の台湾に対する貢献と国際社会における影響力を考慮し、蔡政権は当局主催の公式な形で葬儀を盛大に執り行いたいとしている。その際、多くの海外要人に参列してもらうことで、台湾の存在感を国際社会にアピールしたい考えもあるという。
中国の圧力で、これまでに台湾を訪問した外国の首脳は少ない。台湾メディアによれば、李氏の前任の総統で1988年に死去した蒋経国の葬儀には、当時のシンガポール首相のリー・クアンユー氏、日本の灘尾弘吉・元衆議院議長ら14カ国の要人のみが参列した。
ただ最近では、香港国家安全維持法の施行により、欧米で中国への警戒が高まる一方、コロナ流行への効果的な対応などで民主主義の台湾が注目もされた。台湾当局が招待すれば欧米や日本から現役の要人が訪れるとの期待もあるという。
一方、コロナの流行が世界で続く中で、各国から多くの要人を招くことに対して慎重な意見もある。5月20日に行われた蔡氏の2期目の就任式では海外の客を招待せず、各国要人からのビデオメッセージを放映する形をとった。李氏の葬儀も同じく各国首脳にビデオ出演してもらう可能性もないとは言い切れない。与党、民主進歩党の関係者は「どんな形でも中国は必ず抗議する。ビデオの方が参加しやすいかもしれない」と話している。
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2020-07-31 14:43:00Z
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