バイデン氏は育児・介護分野の雇用創出プランを披露した(21日)=AP
【ワシントン=河浪武史】11月の米大統領選を巡って、民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領の主要経済政策が21日出そろい、トランプ米大統領(共和党)との論戦の舞台が整った。新型コロナウイルスで打撃を受けた雇用の再建を打ち出すバイデン氏は中道の代表格だが、政策は左派への配慮も目立つ。
バイデン氏は21日、育児と介護に10年で7750億ドル(約83兆円)を投じ、300万人の雇用を創出すると発表。9日には「より良い状況への再建」とのスローガンを掲げ、コロナ禍からの米製造業の再生計画を公表。14日の環境投資計画に続き、今回が第3弾だ。
注力するのは労働市場立て直しだ。連邦政府が米国製品を大量購入する「バイ・アメリカン」では政府が4年で4000億ドルの調達費用を拠出する。製造業だけで200万人分の雇用を積み増す。人工知能(AI)など先端分野への投資で300万人の雇用を創出。経済政策第1~3弾で、単純合算で1000万人規模の雇用創出を見込む。
所得格差の是正も狙い、企業と富裕層への増税で財源を捻出する。トランプ政権は連邦法人税率を35%から21%まで下げたが、バイデン氏は28%に再び高める。個人所得税も最高税率(35%)を上げ、富裕層の資産取引課税なども強化する。
環境分野への巨額投資や富裕層増税は、勢力を伸ばす急進左派(プログレッシブ)の主張を大胆に取り入れた。民主党は4年前の大統領選で、クリントン元国務長官が左派を取り込めず、大量の棄権票を生んでトランプ氏に敗北した。バイデン氏は左派の代表格であるサンダース上院議員(無所属)陣営と共同チームをつくって、政策を練り上げている。
対中政策はトランプ氏と同じ強硬路線だ。大統領選を左右する中西部の製造業を強く意識。中国の為替操作や不当廉売、産業補助金などを「不公正」と指弾する。環太平洋経済連携協定(TPP)は再交渉した上で復帰する可能性も示唆する。
トランプ氏の支持基盤にも手を伸ばす。4年前に「トランプ旋風」を生んだバイ・アメリカンや保護貿易主義もそのまま取り込んだ。世論分析で定評ある米キニピアック大の調査では、バイデン氏の経済政策の支持率は7月に50%となり、45%のトランプ氏を逆転。全方位の「バイデノミクス」が浸透し始めている。
細部は詰まっていない。21日発表した育児・介護支援策の財源は「資産家の不動産取引に課税する」という。求める税収は10年で8000億ドル弱と極めて巨額で、ほかの税源の手当てが不可欠だ。10年で1.5兆ドル規模だったトランプ減税を帳消しにしても、バイデン氏の投資計画を全部は実現できない。論戦が深まれば財源不足を問われることになりそうだ。
トランプ氏は21日、新型コロナに関する記者会見を約3カ月ぶりに開いた。米紙ワシントン・ポストの世論調査でバイデン氏との支持率の差は15ポイントと3月の2ポイント、5月の10ポイントから広がった。白人警官による黒人暴行死を受けた抗議デモへの対応に加え、新型コロナ対処の不手際への批判が大きい。会見再開で対策をアピールする狙いだったが感染の収束のメドはたっておらず、反転攻勢への道筋は描けていない。
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2020-07-22 15:00:00Z
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