Kamis, 20 Agustus 2020

ロシアがベラルーシに軍事介入するこれだけの理由 - Newsweekjapan

<NATO諸国に対する「最後の砦」ベラルーシの混乱をロシアが放って置けるはずはない?>

現政権への抗議デモに揺れる隣国ベラルーシに、混乱の収拾を口実にしてロシアが軍事介入する可能性があるとみて、NATOは警戒を強めている──2人の米当局者が本誌に明かした。

ベラルーシでは今月9日に行われた大統領選後、野党支持者らが選挙の不正を糾弾。混乱が広がるなか、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領に支援を求めた。ロシアにとって今も自国寄りの政権が支配するベラルーシは、NATOの勢力拡大に対抗するための最後の防波堤だ。ベラルーシと国境を接する旧東欧圏のラトビア、リトアニア、ポーランドはすでにNATOに加盟している。ベラルーシを失うまいと、ロシアが軍事介入に踏み切る可能性は十分あると、米当局者は言う。

「ベラルーシはNATO加盟国ではないから、(ロシアが軍事介入をしても)NATOは対応できない」と、この当局者は匿名を条件に本誌に語った。「しかも、ロシアには前歴がある。(ウクライナ危機の際にも)欧米勢が混乱をあおったと虚偽の主張をし、それを口実に介入した」

加えて、COVID-19の「パンデミックの影響でNATOの即応力が低下している」こともあり、「(ロシアの介入に)好都合な条件がそろっている」と、この当局者は指摘する。

プーチンにすがる独裁者

「出動命令を下すのに最善のタイミングは社会が混乱しているとき、とりわけ権力の空白が生じたときだ。選挙の不正が問題になっていることを考えると、ロシアが『国民投票』を仕掛け、偽りの民意を形成して」、それを口実に介入する可能性もあると、彼はみる。

米国防総省の高官も、匿名を条件に、この当局者の発言を裏付けた。この高官によれば、ロシア軍はNATO各国の軍隊 に比べ、COVID-19の影響をさほど受けていない。「ロシア軍も多少は機動力が低下しただろうが、盛んに軍事演習を行い、迅速に出動できる態勢を誇示している。一部の演習は今も続行中だ」

抗議デモが吹き荒れているベラルーシに、「重要なインフラを守るためと称して、ロシアが治安部隊を送り込む可能性は十分ある」と、この高官は言う。

プーチンとルカシェンコは8月16日に電話で協議した。ロシア政府の公式発表によると、この会談で「ロシア側はベラルーシが直面している問題を解決するため、必要な支援を提供する用意があると改めて保証した」という。公式発表によれば、これは「ロシア・ベラルーシ連合国家創設条約」と、ロシアとベラルーシのほか、旧ソ連の共和国であるアルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンが調印している「集団安全保障条約」に基づく支援だ。

ベラルーシ側の公式発表でも、ルカシェンコはプーチンとの電話協議で「外部からの脅威」があった場合はロシアの支援を受けたいと述べた、とされている。

<参考記事>ベラルーシ独裁の終わりの始まり──新型コロナがもたらす革命の機運
<参考記事>ベラルーシとの合同演習は、ロシア軍駐留の「隠れ蓑」?

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2020-08-20 10:01:00Z
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