<初日から慣例破りの即興演説を行ったトランプは自らの支持基盤の共感を得るための根拠のない主張を次々展開>
4年以上にわたってアメリカのあらゆる伝統や規範を破壊してきたドナルド・トランプ米大統領が8月24日、またやってくれた。トランプは同日開幕した共和党の全国大会で正式に大統領候補に再指名された直後、予告なしに党大会の会場に表れ、対立候補である民主党のジョー・バイデン前副大統領が11月3日の大統領選で公正に勝つことなどあり得ないと断言した。
「彼らが私たちから今回の選挙を奪うことができるとすれば、それは不正選挙しかない」。トランプはノースカロライナ州シャーロットの会場に集まった、少人数ながらも熱狂的な支持者たちを前にこう主張した。
トランプはこの数週間、似たような主張を展開してアメリカの民主主義の伝統を貶める作戦に出ている。11月の大統領選を前に、主要な世論調査がいずれもトランプの劣勢(支持率でバイデンに2桁の差をつけられているケースもある)を示しているので、本選で負けた場合の予防線を張っているのだ。24日の党大会では、党大会のもう一つの伝統である「あと4年!」の掛け声にも不十分だと反論した。「民主党を本当に挑発したいなら、あと12年と言え」とトランプは言った。合衆国憲法では、大統領の任期は2期までと定められているのだが。
「病的」な一面が全開に
またもや共和党の予定は乗っ取られ、放り投げられた格好だ(トランプが大統領になってからはこんなことばかりだが)。トランプの熱心な支持者として知られる共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長は先週、各報道機関に対して、党大会は将来に目を向けた、ポジティブなものになるだろうと言っていた。だがトランプが登場するとすぐに、党大会の雰囲気は民主党の想像上の「陰謀」を激しく糾弾するものに変わった。
トランプは民主党が「選挙を盗もうと」していると主張し、「2016年の選挙の時にも、彼らがひどく悪さをしているのを見つけた。今回もまた悪さをしようとしている。気をつけなければ」と述べた(証拠はない)。
党大会の残る3日間、あるいは本選までの2カ月がどうなるのかは、これで決まったようなものだ。トランプは24日にそうしたように、自分が率いる政府がアメリカ史上最高の政府であり、国民はもう自分なしではやっていけないと主張し続けるに違いない。「自分が常に注目の中心にいないと気が済まないという、彼の病的な一面だ」とリッチ・ゲーレンは言う。ゲーレンは共和党の元顧問で、大勢の共和党関係者や共和党支持者と同様、今回の大統領選ではトランプを支持できないと表明している。
<参考記事>アメリカ大統領選挙の一大イベント「党大会」 最終盤戦へ号砲
<参考記事>トランプの元側近で極右のバノン、「壁」建設資金の私的流用容疑で逮捕
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2020-08-25 10:10:00Z
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