独裁的な長期政権が崩壊し、民政への移管が進められてきたアフリカのスーダンで、首相や閣僚などが武装した部隊によって拘束されたと現地の複数のメディアが伝えました。民主化勢力は軍によるクーデターだと非難し市民に抗議デモを呼びかけていて、緊迫した状況が続いています。
スーダンでは、おととし市民のデモをきっかけに30年にわたった独裁的なバシール政権が崩壊し、民政への移管が進められてきました。
しかし、先月にはバシール前政権とつながりのある兵士の一部によるクーデター未遂が起き、その後も軍と民主化勢力の双方の支持者がデモを行うなど、緊張が高まっていました。
こうした中、現地の複数のメディアは25日、首都のハルツームでハムドク首相や複数の閣僚が武装した部隊によって拘束されたと伝えました。
これまでのところ軍による声明などは出ていませんが、現地メディアによりますと、軍が首都の市街地に展開しインターネットもつながりにくい状態になっているということです。
これに対して民主化勢力の一部は「軍によるクーデターだ」と非難し市民に抗議デモを呼びかけていて、緊迫した状況が続いています。
民政への移管を支援するため直前に現地を訪れていたアメリカのフェルトマン特使は声明を発表し「民主化の動きに逆行するもので受け入れられない。武力による政変はアメリカの支援も危機に陥れる」と強い危機感を示しています。
「第2のアラブの春」長期政権崩壊後のスーダンは
同じ時期に、北アフリカのアルジェリアでも反政府デモによって長期政権が崩壊したことから、2011年に中東各地に広がった民主化運動にちなんで「第2のアラブの春」とも呼ばれました。
クーデターのあと暫定統治を続けていた軍は、民主化勢力と共同統治を行うことで合意し、軍のトップのブルハン氏が最高評議会の議長を務めながら、経済学者のハムドク首相のもとで民政への移管を進めることになりました。
去年には、国内の複数の反政府勢力と和平協定が結ばれたほか、アメリカによるテロ支援国家の指定が解除されるなど、国際社会との関係の改善も進みました。
一方で、経済の低迷や物価高によって国民の不満が高まり、先月にはバシール前政権とつながりのある一部の兵士によるクーデター未遂が起きたほか、今月に入り、軍と民主化勢力の対立も表面化して、双方の支持者が大規模なデモも行うなど、緊張が続いていました。
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2021-10-25 10:01:05Z
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