【カイロ=佐藤貴生】内戦下のシリアで26日に行われた大統領選で、現職のバッシャール・アサド氏(55)が95・1%を得票して4選したと発表された。ロイター通信が27日に伝えた。10年超の内戦で支配地域は全土の3分の2に縮小したが、アサド政権は反体制派を不法拘束して拷問を加え、恐怖に基づく統治を続けているとされる。米国はシリアに積極関与する姿勢を示しておらず、新たに7年の任期を手にしたアサド氏はロシアとイランの支援の下で独裁体制を強化する構えだ。 大統領選にはアサド氏のほか、ほぼ無名の候補2人が出馬した。投票率は約78%。イスラム過激派が割拠するシリア北西部イドリブ県などでは選挙は行われず、海外の難民も投票できなかったもようだ。 国連は新憲法を制定して選挙を行う和平プロセスを進めようとしてきたが、政権側と反体制派などの協議は停滞。アサド政権が存続する限り、歩み寄りは困難とみられる。 アサド氏は父、ハフェズ前大統領の死去に伴い2000年に大統領に就任。11年の反政府デモに乗じてイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)など過激派が台頭、内戦に突入した。政権側は一時劣勢となったが、15年に介入したロシアやシーア派のイランが政権を支え情勢を覆した。 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は元駐シリア米大使の話として、アサド氏の圧勝が予想される選挙がすんなり実施されたことは、国連と協調してきた米国外交の失敗を意味し、「米国の影響力がないことを示した」と伝えた。同紙はバイデン米政権はシリア担当特使を指名しておらず、深く関与する意思がみられないと指摘した。 バイデン政権は4月上旬、イラク駐留米軍のうち戦闘部隊の撤退を進める方針を示すなど、中東への軍事的な関与を縮小する方針を示している。シリアでも北東部での小規模な部隊の駐留にとどめている。 一方、アサド政権を支援するロシアは今月25日、核を搭載できるツポレフ22M3戦略爆撃機がシリアに到着し、地中海を含む周辺空域で演習を行うと見通しを示した。ロシアは内戦介入後、シリア北西部に空軍基地を新たに獲得し、地中海周辺の軍事バランスに影響を与えつつある。 また、イスラエルのメディアは昨年、イランがアサド政権支援のため300億ドル(約3兆3千億円)をシリアに投資する可能性があると報じた。イランはシリアに隣国イスラエルへの軍事攻撃の前線拠点を築いているとされる。 内戦で経済が落ち込み、人口の9割が貧困に直面しているといわれるシリア。住民の苦難をよそに大国の駆け引きが続きそうだ。
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2021-05-28 12:16:23Z
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