<世界で人種差別に関わる像や記念碑の撤去が広がるなか、ついにイエス・キリストを白人として描く肖像の見直しを英国国教会の大司教が指示した>
イギリスのカンタベリー大司教ジャスティン・ウェルビーは6月26日、英国国教会をはじめ世界中の宗教機関は、「白いキリスト」について「当然」再考すべきだと語った。
制度的な人種差別を終わらせろと抗議する行動が世界中で勢いを増す中、世界の165を超える国にまたがる数百万人もの信者の頂点に立つアングリカン・コミュニオンの大司教が、イエス・キリストを白人として描くことは人種差別的だと反対の声を上げたのだ。
ウェルビーは26日、イギリスBBCラジオ4の番組で、多様な文化的背景を持つさまざまな教会を訪問した経験を語った。その多くで掲げられていたのは、白い肌のキリスト像ではなかったという。
「イエス・キリストの姿は、文化、言語、解釈の数と同じだけさまざまな描写がある」と、ウェルビーは述べた。「白人のキリストではなく、黒人や中国人のキリストもいる。アラブ系のキリストの姿もあって、それは最も本物に近い」
宗教機関による描写の再検討に加えて、教会の敷地内に設置されているキリスト像やその他の歴史的人物のあらゆる彫像の必要性を見直す時が来た、とウェルビーは語った。カンタベリー大聖堂やウェストミンスター寺院のような場所に現存する多くの彫像を残すかどうかは自分が決めることではないが、すべてを残す必要があるかどうかは議論の余地がありそうだ、と彼は言う。
白いキリストは偽善
「像はそれが設置された背景のなかでとらえる必要がある。取り除くべきものもあるだろう。一部は名前を変える必要がある」と、ウェルビーは語った。「カンタベリー大聖堂の周囲を歩けば、あらゆるところで彫像に出会う」
ウェルビーがこの発言をしたとき、世界各国の指導者は、公共の場所に設置された人種差別主義者の記念碑は本当に死守する価値がるのかどうか、迷っているところだった。
アメリカでは、人種差別に対する抗議デモの参加者や都市の指導者の一部が、南北戦争のときの南部連合軍の将軍やクリストファー・コロンブス、奴隷制とつながりのある一部の建国の父などの像や記念碑を破壊・撤去する行動を起こしている。
市民活動家のショーン・キングは、白人のイエス・キリスト像は「白人至上主義の一形態」であるとし、ツイッターで撤去を呼びかけた。現在のパレスチナで生まれたイエス・キリストが白人だったはずはなく、黒人だった可能性が高いというのは専門家も認めるところだ。
キングは浅黒い肌をしたイエス像を投稿している。英BBCがドキュメンタリー番組のために再現したイエスが生まれた当時のパレスチナの男性の顔だ。
BLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動ニューヨーク地区責任者のホーク・ニューサムは24日、フォックス・ニュースのインタビューでキングに同調した。「青白い肌のキリストの肖像は、アメリカと世界における偽善と白人至上主義にすぎない」と、ニューサムは言った。「イエスは白人ではなかった。誰でも知っていることだ」
<参考記事>キリスト像の撤去まで求める過激な主張の根拠──黒人差別反対運動
<参考記事>BLMの指導者「アメリカが我々の要求に応じないなら現在のシステムを焼き払う」の衝撃
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2020-06-29 06:15:00Z
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