【ワシントン=河浪武史】米上院は6日、バイデン大統領が提案した1.9兆ドル(約200兆円)の新型コロナウイルス対策法案を民主党主導で可決した。法案を一部修正したため、9日から下院で再審議して14日までに成立する見通しだ。柱は1人最大1400ドル(約15万円)の現金給付で、バイデン政権は月内の支給開始を表明した。
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上院は5日朝から徹夜で追加の新型コロナ対策を審議し、6日昼に関連法案を可決した。与党・民主党側は全50議員が賛成票を投じたが、共和党は出席した全49議員が反対に回った。バイデン氏は「米国の結束」を求めて超党派合意を目指したが、早期の経済対策の発動を優先して民主党の単独可決に踏み切った。
経済対策の柱は1人最大1400ドルの現金給付だ。バイデン氏は法案の上院通過後、ホワイトハウスで声明を読み上げて「公約実現へ大きな前進だ。小切手の配布を月内に開始する」と、3月中に現金を支給する考えを表明した。
米政権・議会による現金給付は今回で3回目だ。コロナ危機が深刻になった2020年3月にまず1人最大1200ドルの支給を決定し、同12月には同600ドルを追加給付を決めた。現金給付は3回の合計で1人最大3200ドルと大規模だ。
3回目の現金給付は年収7万5000ドル以上は減額し、8万ドル以上は支給対象外とする。下院案は上限を10万ドルとしていたため、同院は9日以降に再審議して14日までの採決を目指す。上院案は失業給付を積み増す特例措置を9月末まで延長し、加算額も現在と同じ週300ドルと決めた。ただ、下院案は延長期限を8月末とする一方、加算額は週400ドルだったため、失業給付も再審議が必要になる。
もっとも、上下両院案はともにバイデン氏が1月に提示した追加財政出動案と大きく変わらない。現金給付の総額は4000億ドル規模とみられ、失業給付の特例加算も2000億ドル規模の追加財政出動となる。子育て世帯への1000億ドル規模の税優遇なども合計すれば、家計支援は1兆ドル弱となる可能性がある。経済格差への不満など米世論は分断が深まっており、手厚い家計支援で社会の動揺を抑える狙いだ。
財政難の州・地方政府にも3500億ドルを支援する。州・地方は財政悪化によるコスト削減で職員数が1年で7%も減少。ニューヨーク市では20年の殺人件数が前年比44.8%も増加するなど全米各地で治安の悪化が目立っている。ワクチン普及に160億ドルを充てるなど、医療体制の整備にも資金を追加投入する。
コロナ危機が深刻になった20年3月以降、米政権・議会は既に4回の財政出動に踏み切っている。今回の1.9兆ドルの対策が成立すれば、臨時の財政出動は合計で6兆ドル弱となり、過去例のない巨額経済対策となる。米実質国内総生産(GDP)は危機前の97.6%まで回復したが、1.9兆ドルの対策は名目GDPの9%に相当する。バイデン政権は雇用回復へ巨額対策を断行する方針だが、大型の現金給付で個人消費が一時的に過熱する可能性もある。
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2021-03-06 20:59:30Z
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