Minggu, 07 Maret 2021

ブラジル感染再拡大で死者最多 大統領「泣き言やめろ」 [新型コロナウイルス] - 朝日新聞デジタル

 南米ブラジルで、新型コロナウイルスの感染が再び拡大している。3月に入って、1日あたりの死者数は過去最多を更新し、1日あたりの感染者数も6万~7万人台が続く。変異株も広がり、サンパウロ州では6日以降、必要不可欠でない経済活動が停止される。

 「昨年3月以来、最悪の2週間に直面するだろう」。サンパウロ州のドリア知事は3日、州全域で最大警戒態勢にすると発表した記者会見で、こう述べた。6日から19日まで、食料品店や銀行などの必要不可欠な商業活動以外は営業が禁じられるほか、公園なども閉鎖される。リオデジャネイロ市でも外出規制が始まるなど、各地で感染拡大への警戒が強まっている。

 ブラジル保健省によると、4日までの累計感染者数は1079万3732人で、4日の新規感染者は7万5千人を超えた。また、累計死者数は26万970人で、3日には死者が1910人と過去最多を記録し、4日も1699人だった。

 現在の感染増加の一因とされているのは、年末年始からの動きだ。11月から始まった第2波は1月にピークを迎え、いったんは落ち着きかけたが、2月のカーニバル後から再び増加傾向にある。カーニバルなどに関連するイベントの多くは中止されたが、この期間中のビーチや別荘地では、市民が大勢集まる姿が見られた。

 北部アマゾナス州から日本に帰国した人から1月に見つかった変異株も、ブラジル全土に拡大している。現地の研究では、この変異株は元のウイルスよりも感染しやすく、感染拡大の一因とされる。再感染した人もおり、ワクチンが有効かも研究中だ。

 頼みのワクチン接種もなかなか進まない。1月中旬から医療従事者や高齢者への優先接種が始まったが、1回目の接種を終えたのは人口の3・5%の735万人にとどまる。

 ワクチンをめぐっては、ドリア氏が中国メーカーに対し、サンパウロ州内の研究所で製造することを認めた。だが、ボルソナーロ大統領は「ブラジル人はモルモットにならない」と批判し、オックスフォード大とアストラゼネカ社のワクチンにこだわった。ブラジル政府は、アストラゼネカ社のワクチンを1億1千万回分以上を確保したものの、2月までに届いたのは400万回分にすぎない。結果的に、ワクチン獲得競争に出遅れた形だ。政府は批判してきた中国のワクチンを購入し、ロシアの「スプートニクV」の使用も承認した。途上国などにワクチンを供給する仕組み「COVAX」に頼ることも決めた。

 批判が高まる中、ボルソナーロ氏は3日、「ブラジルは一番予防接種をしている国だ。私たちは宿題をしている」と語り、ワクチン接種は進んでいると主張した。メディアがパニックを作っているとし、「彼らにとってウイルスは私だ」「マスコミを見ていたら生きていけない」などと逆に批判をした。

 同じ日の夜、サンパウロ市内では抗議の鍋たたき「パネラッソ」があり、甲高い鍋の音とともに「ボルソナーロはやめろ」との声が街路に響いた。4日に発表された世論調査では、ボルソナーロ氏の不支持率は2週間前の49%から51%に上昇する一方、支持率は3ポイント落ちて40%だった。

 だが、ボルソナーロ氏の姿勢は変わっていない。累計死者数が26万人を超えた4日は「泣き言はやめろ。いつまで悲しんでいるつもりだ」と語った。(サンパウロ=岡田玄)

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