英国で流行が拡大する変異した新型コロナウイルスは、英エディンバラ大などの研究で、現在世界で流行するタイプに比べ、ウイルス表面にあるスパイク(突起)先端の分子1個が変化していることがわかった。
他にも変化した分子はあるが、スパイクは細胞に感染する時に必要な構造に当たる。変異種が拡大した9月以降に英国で病状が重くなるなどのデータはなく、専門家は冷静に分析を待つよう呼びかけている。
今回のウイルスは、今年3月以降に出現した欧州型(D614G)がさらに変異したもので、遺伝情報の変化の特徴から「N501Y」と呼ばれている。
英医療当局の諮問機関の発表によると、この変異種は欧州型など他の新型コロナウイルスに比べ、約1・7倍速く感染が広がっている可能性があるという。デンマークやオーストラリアなどの感染者は英国由来とみられるが、最初に変異したウイルスがロンドン発祥か他の地域から持ち込まれたのかはわかっていない。
欧州各国は、変異種の流入で医療が
新型コロナは昨年12月に中国で見つかった「初期型」は消え、現在は欧州型が世界の主流だ。その後もデンマークで変異が見つかり、感染するミンクが大量処分された。新型コロナは約3万個の遺伝情報を持ち、1年間に約24個のペースで変化が起きるとされるが、変異種は全部で23個の変化が確認されている。
ワクチンの効果への影響を心配する声もある。米製薬大手ファイザーなどのワクチンは欧州型に対応しているが、スパイク先端だけでなく他の部分にも免疫が反応し、ウイルスを攻撃するよう設計されているという。森田公一・長崎大熱帯医学研究所長(ウイルス学)は「ワクチンが全く効かないような変異は、簡単には起きない。まずは死亡率や重症化率の変化などのデータを見極め、対応を考える必要がある」と話す。
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2020-12-21 20:00:00Z
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