オーストラリアは9月、フランスに発注していた370憶ドル相当の潜水艦建造契約を破棄し、米英と新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を構築。アメリカからオーストラリアに原子力潜水艦の建造技術が提供されることとなった。これにマクロン氏が激怒し、両国間で激しい対立が生じた。
モリソン氏は、不誠実な対応はなかったと主張している。
両首脳はG20で、潜水艦の開発をめぐる問題が勃発して以降初めて顔を合わせた。
オーストラリアのジャーナリストからモリソン氏を再び信頼できるかどうかを問われると、マクロン氏は「彼が何を提供してくるか見届ける」と述べた。
「私はあなた方の国をとても尊敬している。オーストラリア国民をとても尊敬しているし、友情を抱いている。ただ、こちらが尊敬するからには、誠意が必要だし、敬意に見合う価値観に沿って一貫した行動をとる必要がある。それだけは言っておく」
質問をしたジャーナリストは、マクロン氏のこの発言を収めた動画をツイートした。
フランスのジャン=イヴ・ルドリアン外相は今年9月、契約破棄は「背後から刺された」ようなものだと非難。仏政府は駐豪大使と駐米大使を一時召還した。
ロイター通信によると、モリソン氏はマクロン氏の発言を受け、マクロン氏にうそをついたことはなく、従来型の潜水艦ではオーストラリアの防衛需要を満たせないと、あらかじめ説明していたと記者団に述べた。
また、両国の信頼と関係の再構築がすでに始まっていると付け加えた。
29日には、ジョー・バイデン米大統領がAUKUS構築後初めてマクロン氏と直接会談した。バイデン氏はAUKUSについて「不器用な対応をしてしまった」とマクロン氏に述べた。マクロン氏はこれに対して、「将来を見据える」ことが大事だと答えた。2人のやりとりは一見、ぎくしゃくしているように見えた。
フランス、オーストラリア、アメリカの首脳は、英スコットランド・グラスゴーで開催中のCOP26で関係を修復するための時間を持てるとみられる。
AUKUSにより、オーストラリアはアメリカが提供する技術を用いて同国初の原子力潜水艦を建造することになるほか、人工知能(AI)などの技術も共有される。これはオーストラリアにとって過去数十年間で最大規模の防衛パートナーシップの1つだ。
オーストラリアは2016年にフランスから従来型の潜水艦12隻を購入する契約を結んだが、米英とAUKUSを構築したことで、この契約を破棄した。
AUKUSには、中国の軍事力増強に対抗する狙いがあると広く受け止められている。中国はAUKUSを「極めて無責任」と非難している。
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2021-11-01 03:57:40Z
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