敵として戦った米軍に対し、今タリバンはその大使館存続を望み、トルコには空港管理を依頼している。それは日本投降後の中国で、中共軍が日本軍人の技術を奪い合ったことを想起させる。空軍力が欠如していたことも共通している。
タリバンがアフガニスタンのアメリカ大使館存続を望むと表明
アメリカ国務省のプライス報道官は8月27日、タリバンがアメリカ政府に対して、8月末の駐留米軍の撤退期限後もアフガニスタンにあるアメリカ大使館の存続を望むと明確に示したと明らかにした。ロイター電や共同通信などが伝えている。
ロイター電はさらに、プライス報道官が「アメリカはアフガニスタンの人々に対する人道支援を継続する」と表明し、「ただタリバンの財源にならないようにする」とも述べたと報道している。
アメリカはそもそも、このタリバン勢力を打倒するためにアフガニスタンに軍事侵攻をしたのだ。2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロの犯人であるアルカイーダのオサマ・ビン・ラディンを匿(かくま)っているとして、当時タリバン政権だったアフガニスタンを武力攻撃した。タリバン政権を崩壊させてから20年間、アメリカがアフガニスタンに留まり続けて戦ってきた相手はタリバンだ。
そのタリバンが、最大の敵であるはずのアメリカに「どうか大使館をアフガニスタンに残してくれ」というのだから、信じがたいような展開である。
しかし8月27日のコラム<タリバンと米軍が「反テロ」で協力か――カブール空港テロと習近平のジレンマ>に書いたように、カブール空港でテロ事件が発生して以降は、タリバンとアメリカは「共通の敵」=「テロ組織」を撲滅させるために、すでに力を合わせて戦っている。したがって西側諸国の象徴であるようなアメリカには、何としても大使館を置いてほしいと思うのも不自然なわけではない。
大使館を置くということは、タリバン政権を国家として認めたことにつながる。
アメリカが大使館を存続させるのならば、他の西側諸国も大使館を戻し、タリバン政権が樹立する「アフガニスタン・イスラム首長国」を国家として認める可能性が出てくる。
タリバンがアメリカと協力してテロ組織を打倒するという戦術に出たのは、これが目的だろう。
タリバンもなかなかに強(したた)かだ。
カブール空港の管理はトルコに依頼
8月31日までカブール空港を管理しているのは米軍だが、米軍が31日に撤退してしまうと、カブール空港を管理する者がいなくなる。
タリバンは航空機を持っていなかったし、航空技術や空港管理に長(た)けた者もいない。したがって米軍が去ってしまったら、カブールの空は機能麻痺をきたす。
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2021-08-29 03:37:44Z
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