【ワシントン=中村亮】米軍は27日、アフガニスタンで自爆テロを行った過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力に報復攻撃を実施した。対テロで強硬姿勢をアピールしたいバイデン大統領の意向を映す。IS系の報復テロを招くリスクをはらむ。
米軍は27日、無人機を使ってアフガン東部のナンガルハル州で「ISホラサン州」の計画立案者を標的に空爆を行った。初期段階の分析では標的の人物を殺害した。バイデン政権は26日にアフガン首都のカブールの国際空港周辺で起きた自爆テロをISホラサン州の戦闘員が行ったと断定した。空爆はテロへの報復となる。
テロ事件の翌日に報復に踏み切ったのは、テロに厳しく対処する姿勢を示す狙いがある。自爆テロでは米兵13人が死亡し、1日の死者数では2011年8月に米軍のヘリコプターが撃墜されて30人が犠牲になって以来の規模だった。バイデン氏は26日の演説でISホラサン州について「追い詰めて代償を払わせる」と宣言した。
空爆は議会を意識したものでもある。与党・民主党のロバート・メネンデス上院外交委員長は26日の声明で、アフガンで復権を果たしたイスラム主義組織タリバンについて「米国の安全を任せられない」と指摘し、バイデン政権に苦言を呈した。タリバンはカブール市内と空港の間に検問所を設け、米軍はタリバンが空港に不審者が近づかないようチェックする役割を担うと説明する。
だが26日は武器を持った複数の戦闘員が空港の入り口で自爆テロと銃撃を行った。サキ米大統領報道官は27日の記者会見で「意図的かどうかはわからないが安全確認のプロセスで誤りがあったことは明白だ」と指摘した。タリバンがカブールを制圧し、やむを得ない面があるが、タリバン頼みの治安維持がテロを招いたと認めた。米国は2001年からタリバンを打倒して最近まで空爆を行い、タリバンの反米感情は強い。
野党・共和党のジョシュ・ホーリー上院議員はアフガン情勢混迷の責任をとってバイデン氏が辞任すべきだと訴えている。共和党内ではハリス副大統領やブリンケン国務長官、オースティン国防長官、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長にも辞任を求める声が広がる。米国人らのアフガン退避が済んだ後に政権を厳しく追及する構えだ。
27日の空爆は報復の連鎖を招く恐れがある。空爆に先立って、オースティン氏やミリー氏らは同日、ホワイトハウスのシチュエーション・ルーム(作戦司令室)でバイデン氏と面会し「カブールで追加のテロ攻撃が起きる可能性がある」と伝えた。
対テロ専門家のトーマス・ウォリック氏は米アトランティック・カウンシルに寄せたコメントで「(アフガンでは)テロリストや過激派が米国に対する勝利を主張するためのプロパガンダ戦争を行っている」と指摘した。ISホラサン州が米兵に対するテロを再び行って、存在感を高めようとする恐れがある。
米国の在カブール大使館は27日、国際空港の周辺から退避するよう米国人に対して勧告した。米メディアによると、米政権はISホラサン州の戦闘員が数百人規模でカブールに集結しているとみている。
もっとも空爆だけでISホラサン州の勢いを止めることは極めて難しい。バイデン政権はアフガン撤収後、アフガンの外から米本土や同盟国を標的とした国際テロ組織の活動を監視するというが、具体策は示していない。中国対抗に向けてヒト・モノ・カネを重点配分しつつも、中東やアフリカのテロ対策をどのように講じていくのかが課題になる。
米ホワイトハウスによると、米国は14日から米東部時間27日午後3時までに10万9200人の国外退避を実行または支援した。米軍は31日までの撤収に向けて準備に入るため「今後は退避者の人数が減る」(サキ氏)見通しだ。
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2021-08-28 05:22:51Z
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