【ワシントン=中村亮、ニューヨーク=大島有美子】バイデン米政権がアフガニスタン人らの移送をめぐり米民間航空会社に協力を事実上強制する制度の活用を検討していることが21日、わかった。米国防総省当局者が明らかにした。移送加速に向けて空輸能力の大幅な引き上げが必要とみている。
米政権が活用を検討しているのは「民間予備航空隊」と呼ばれる制度。制度に参加する航空会社は平時に米軍の貨物輸送などを優先的に請け負う代わりに有事では航空機を提供して米軍の空輸能力を引き上げる役割を担う。第2次大戦後に旧ソ連が西ベルリンを封鎖した際、米国は空から生活物資を届けたことが教訓となり、同制度が創設された。
国防総省当局者によると、米輸送軍が20日夜に制度を活用する可能性があると民間航空会社に通告した。米軍は多数の輸送機C17を使ってアフガンの首都カブールの国際空港から中東や欧州の米軍基地に米国人やアフガン人を移送していったん収容。その後に米本土などに移送している。民間機の利用を検討しているのは中東や欧州からの移送で、カブールへの飛行は想定していないという。
米ユナイテッド航空の客室乗務員の労働組合は21日、制度発動に備えて客室乗務員が応募できるプロセスを開始した。米航空会社の業界団体、エアラインズ・フォー・アメリカ(A4A)も同日に「米国の航空会社はここ1週間、必要に応じて支援を提供しており、米政府機関や当局と頻繁に連絡を取り合い、必要な支援を判断している」と説明した。
米軍高官はカブールからの国外移送の規模を1日あたり5000~9000人とする計画を示している。ホワイトハウスは20日、1日あたりの移送規模が約5700人とそれまでの2000人から上がったと明らかにした。カブールからの移送が加速する半面、中東や欧州の経由地で収容能力が限界に近づき、経由地から米本土などへの輸送能力の引き上げが急務となっている。
米軍は20日ごろにカブールの国際空港の運用を数時間にわたって中断したが、理由は一時的な収容先となる経由地が見つからなかったためとみられている。米軍高官は21日の記者会見で、14日からの1週間で1万7000人を国外退避させたと明らかにした。バイデン大統領は18日のABCテレビのインタビューで国外退避の対象は最大8万人と説明しており、退避作戦は道半ばだ。
国外退避の加速に向け、カブール空港への移動もハードルになっている。米国の在カブール大使館は21日、米国人に対し「カブール空港の周辺で安全に対する潜在的な脅威があり、空港に行ったり空港のゲート周辺にいたりすることを避けるよう勧告する」と警告した。CNNテレビによると、過激派組織「イスラム国(IS)」が空港や周辺地域で米国人を標的にテロを企てている可能性があるという。
バイデン米大統領は20日の演説で、米軍が19日に空港を出て169人の米国人を空港に移動させたと明らかにした。米メディアによると、米軍はヘリコプターを使って空港から数百㍍に位置するホテルから米国人を救出した。徒歩で移動しようとしたが、空港周辺が混雑し移動を断念していたという。米軍が空港を出て移動を支援したのは初めてとみられる。
ただバイデン氏は米軍がカブール中心部まで出て米国人やアフガン人の移動を支援することには否定的だ。イスラム主義組織タリバンに属さないテロ組織から攻撃を受けるリスクがあると懸念する。こうした作戦には地上部隊だけでなく、空からも警戒にあたるため戦闘機や無人機を動員する必要があり、その分だけ空港の警備がおろそかになりかねない事情もある。
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2021-08-22 02:24:31Z
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