【ニューヨーク=山内菜穂子】米国の各州で、新型コロナウイルス対策として導入した行動制限を緩和する動きが相次いでいる。新規感染者数の減少やワクチンの接種が進んだことを理由に、ミシシッピ州やテキサス州ではマスクの着用義務の撤廃を打ち出した。ただ国内の新規感染者数の減少に下げ止まりの兆しがあるほか、変異型の広がりも懸念される。連邦政府は各州で広がる気の緩みの引き締めに躍起となっている。
米南部ミシシッピ州は3日から、マスクの着用義務を解除した。ミシシッピ州のリーブス知事は2日の記者会見で、「入院患者や患者数が劇的に減少している」と胸を張った。2日にはテキサス州のアボット知事も10日にもマスクの着用義務を撤廃すると表明した。米CNNによると、マスクの着用義務がない州は13州に上っている。
飲食店や映画館、娯楽施設などでの制限の緩和も広がる。マサチューセッツ州では1日から飲食店の店内飲食での客数制限をなくし、店内で音楽演奏もできるようになった。ニューヨーク州は5日から、約1年ぶりに映画館の営業を定員の25%を上限に認める。15日からは感染対策を条件に大規模な結婚式も開催できるようになる。
各州が行動制限の緩和を進める背景には、新規感染者数の減少やワクチン接種の進展などがある。米疾病対策センター(CDC)によると、少なくとも1回、ワクチンを受けた人は5100万人を超え、全人口の15.6%となった。バイデン大統領は2日の記者会見で、5月末までに米国の全成人分のワクチンを確保できると発表した。当初は7月末までに全国民分のワクチンを供給する計画だったが、前倒しした。
一方で、国内の新規感染者数の減少傾向には下げ止まりの兆しもある。米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)は2日時点で約6万5000人。ピークだった1月中旬の約30万人に比べて8割弱減少した。ただ、このところは前日比で新規感染者数が増加する日も目立つ。「COVID・トラッキング・プロジェクト」によると、テキサス州では2日、新規感染者数が7742人と前日に比べて3926人増えた。
感染力が強いとされる変異型ウイルスの感染の広まりも懸念材料だ。米国ではこれまでに発見された「英国型」や「南アフリカ型」、「ブラジル型」のほかに、新しい変異型がニューヨーク、カリフォルニア両州で発見されている。米メディアによると、ニューヨークで発見された変異型は少なくとも他の14州でも確認されているという。
バイデン大統領は2日、テキサスとミシシッピの両州がマスク規制の緩和に動いたことを受け、「マスクをつけるように。今は警戒を緩める時ではない」と呼びかけ、感染対策の徹底を改めて求めた。CDCのワレンスキー所長も「人々は疲れており、普通の生活に戻りたいと思っている。ただ、今はまだその時ではない」と強調した。バイデン氏は3日も両州の行動制限緩和について触れ、「重大な間違いだ。科学に基づく(判断である)べきだ」と語った。
【関連記事】
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiPGh0dHBzOi8vd3d3Lm5pa2tlaS5jb20vYXJ0aWNsZS9ER1haUU9HTjAzRE9BMFQwMEMyMUEzMDAwMDAwL9IBAA?oc=5
2021-03-03 18:29:58Z
52783108027248
Tidak ada komentar:
Posting Komentar