【バンコク=村松洋兵、ヤンゴン=新田裕一】国軍のクーデターに揺れるミャンマーでは4日も各地で市民らの抗議デモが起こり、警察を主体とする治安当局は強制排除を続けた。ロイター通信によると、市民に向けた発砲もあった。国連は一連のデモの制圧で市民側に50人以上の死者が出たと明かした。
国連安全保障理事会は5日の緊急会合で対応を協議する。
国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)が3日の記者会見で、市民側の死者の累計が「50人以上」にのぼると指摘した。3日にはミャンマー各地で計38人が死亡し、2月1日のクーデター後のデモ制圧では1日あたりの死者数で最悪となった。
軍事政権下の2007年、燃料費値上げに反対して起きたデモの弾圧で死亡した31人(国連報告)を上回った。
安保理の緊急会合はミャンマーの旧宗主国である英国の要請で開く。
ブルゲナー氏は、安保理の常任理事国のなかでミャンマー情勢への関与に後ろ向きな中国、ロシアに対し「協力の重要性の理解を望む」と述べ、緊急会合で一致した対応をとれるよう期待を表明した。
中国外務省の汪文斌副報道局長は4日の記者会見でミャンマー情勢について「中国は引き続き建設的な役割を発揮していきたい」と述べた。
ミャンマーでクーデターを起こした国軍と、これに反発する民主化勢力との対立が激しくなってきた。国軍は全権掌握の既成事実づくりを進めるが、民主化勢力は「臨時政府」を立ち上げ、統治の正統性を主張する。3日には市民らの抗議デモの制圧で1日あたりでは最悪の死者を出した。国軍は強硬なデモ制圧を続ける姿勢を示すが、混乱収拾のシナリオは描けていないもようだ。
ブルゲナー氏は3日の会見で、治安当局がデモ制圧にあたり、市民らを無差別に殺傷しかねないサブマシンガンを使用した可能性を示唆した。だが、4日のミャンマー国営紙は治安当局が「群衆コントロール用の武器だけを使用している」と伝え、否定してみせた。
ブルゲナー氏は、ミャンマー国軍のソー・ウィン副司令官との会話のなかで「(このままでは世界でミャンマーが)孤立する」と警告したが、ソー・ウィン氏は「わずかな友人と歩くことを学ばなければならない」と回答したと明かした。国際社会での孤立も辞さない姿勢で、強硬なデモ制圧を続ける構えをみせたと受け止められている。
シンガポール外務省は4日、ミャンマー在住の自国民に早期の出国を呼びかけた。
国軍が警戒するのは、政変前に国家顧問兼外相として事実上の政府トップだった民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の解放を求める「連邦議会代表委員会(CRPH)」の動きだ。CRPHは国軍が任命した閣僚を認めず、大臣代行を指名して事実上の「臨時政府」を立ち上げた。デモ参加の市民らに支持を広げている。
CRPHは、国軍が政変で拘束したスー・チー氏が党首を務める国民民主連盟(NLD)に所属し、20年11月の総選挙(上下院選)で当選した連邦議会議員を主体とする組織だ。総選挙ではNLDが改選議席の8割を獲得したが、国軍は総選挙に「不正があった」と主張して、結果を受け入れていない。
国軍が新たに任命した選挙管理委員会は2月26日に各政党の代表を集め、「総選挙の結果は無効になった」と伝えた。
CRPHは2月26日、チョー・モー・トゥン国連大使を通じ、国連総会の会合で正統性を主張。国軍は同氏を解任したが、国連や米国は認めていない。ミャンマー外務省が国軍の指示で後任に任命したティン・マウン・ナイン次席大使も3日辞意を表明した。
国軍はCRPHを「違法」と決めつけ、在外公館の幹部人事に着手し、民主派の排除を始めた。ミャンマー外務省は2月28日、日米欧など19カ国・地域の在外公館から少なくとも100人を帰国させ、かわりに50人以上を派遣する異動を発令した。憲法に基づき、国軍と国家統治評議会が正統な権力継承者だと世界に主張する狙いだ。
国軍への自制要求を無視された国際社会も態度を硬化させる。プライス米国務省報道官は3日「軍による国民への残忍な暴力を非難するため」各国に呼びかけると表明。同日にはローマ教皇フランシスコが「市民の生命尊重と、政治犯の釈放」を国軍に求める声明を出した。欧米のキリスト教社会に国軍への圧力を呼びかけた形だ。
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2021-03-04 14:36:12Z
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