Senin, 10 Juni 2024

欧州議会選で「緑の党」大敗、気候変動目標の継続巡りEU論争激化へ - ブルームバーグ

今回の欧州議会選挙は、史上最も環境主義寄りだった欧州議会の終わりを告げた。環境政策から移民に至るまであらゆることへの懸念がポピュリスト政党の伸長につながった。

  世界で最も野心的な気候変動戦略を欧州連合(EU)が採用するのを後押しした環境主義政党「緑の党」は、5年前の躍進とは打って変わって大敗し、気候変動対策に前向きなリベラル系も大打撃を被った。一方、ドイツやイタリアなど各国で極右ポピュリスト政党が議席を伸ばした。

  この結果が、EUのグリーンディールを覆すことはないだろう。EU経済の脱炭素化を促す包括的な計画を支持した主流派政党は議席の過半数を維持した。だが、域内各国の家計に影響を及ぼす政策が実行に移される際に、政府の決意が弱まる恐れがある。域内の二酸化炭素排出量をネットゼロとする目標を達成するための将来の措置を巡っても、新たに選出された議員の間で論争になる公算が大きい。

Green EU Losses Are Primarily Due to Germany and France

Distribution of seats by country

Source: European Parliament

  コンサルティング会社フライシュマン・ヒラードEUのエネルギー・気候変動担当責任者、マクシモ・ミッチニリ氏は「グリーンディールは生き残るだろうが、活気はなくなるかもしれない」と指摘。「EUは過去10年に採用された措置を守れるはずだが、新議会にとって2040年までの新目標の提案が大きな試金石になる」と続けた。

  環境政策を巡る不満から街頭デモが起き、生活費の上昇や移民に対する不安が広がる中で、EU各国政府や欧州委員会は気候変動対策の野心を後退させるよう既に圧力にさらされている。

  2030年までに温暖化ガス排出量を1990年比で55%削減するという野心的な目標を達成するための最も厳しい措置はまだ施行されていない。EUは27年に、暖房と交通燃料を対象とする新たな炭素市場を開設する予定だが、これは消費者に影響する。35年までには二酸化炭素を排出する新車乗用車の販売が禁止され、実質的に内燃機関車を博物館行きに近付ける。

  欧州気候基金のロレンス・トゥビアナ最高経営責任者(CEO)は「残念ながらポピュリスト政党があまりに大きな勢力を得た」と述べ、「より公正な政策」と「もっと市民に耳を傾けることだけが、二極化への解決策だ」との見解を示した。

  50年までのネットゼロ達成のため、欧州は今後10年で排出削減を一段と加速する必要がある。その目標に着実に進むべく、欧州委員会は40年をめどに温暖化ガス排出量を90%減らすという新たな目標案を今年に入り示した。正式提案は来年になる見込みで、この目標に関する政治的な議論はまだ始まっていない。

  EU自身の見積もりによると、ネットゼロ実現には31年から50年までエネルギーや交通システムに年1兆5000億ユーロ(約253兆円)程度の投資が必要で、大半は民間の資金を頼りにしている。11年から20年までの10年でこれらセクターの脱炭素化に投資された額は年8630億ユーロだったため、大幅な上積みが求められる計算だ。

  だが、グリーン化への移行で現在最大の公的財源としているパンデミック復興プログラムは終わりに近づき、共同債発行など新たな財源を巡って各国は一致できていない。新議会で分裂が深まり、予算や気候対策などの政策をEUが前進させることがいっそう難しくなるリスクがある。

原題:Green Wipeout Means Fights Ahead to Keep Europe’s Climate Goals(抜粋)

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2024-06-10 18:41:00Z
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