Jumat, 14 Juni 2024

アングル:欧州極右、巧みなSNS使いで若者の「不満」吸い上げ - ロイター (Reuters Japan)

アングル:欧州極右、巧みなSNS使いで若者の「不満」吸い上げ

6月13日、ドイツやフランスからポーランド、スペインまで、先日行われた欧州連合(EU)欧州議会選挙では極右勢力が若い有権者を取り込む構図が鮮明になった。写真は3日、選挙用の政党候補者ポスターが張られたスペイン・ロンダの街頭で撮影(2024年 ロイター/Jon Nazca)

[ベルリン/ワルシャワ/マドリード 13日 ロイター] - ドイツやフランスからポーランド、スペインまで、先日行われた欧州連合(EU)欧州議会選挙では極右勢力が若い有権者を取り込む構図が鮮明になった。

極右になびきつつあるのは、常に危機の中で育ち、これまでにない答えを求める世代で、その多くはTikTok(ティックトック)やユーチューブを使いこなす政治家をフォローしている。

若い有権者は従来、左派的とみなされてきた。実際2019年に行われた前回の欧州議会選では、環境保護に熱心な政党が各地で支持を集め、こうした政党に投票した若者は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ氏にちなんで「グレタ世代」と呼ばれた。

ところが新型コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻、生活費危機を経て、多くの若者が今回極右のポピュリズム(大衆迎合主義)政党に支持を乗り換え、今回の欧州議会選での極右躍進へとつながった。

欧州の民族主義的、ナショナリスト的な新興政治勢力のリーダーたちは、主流政党の政治家よりもソーシャルメディアの扱いに長けている傾向が強く、一部の若者からは反体制文化の旗手としての評価も得ている。

専門家によると、こうした新興政治勢力は特に、社会から取り残され、差別撤廃への意識を高める一方の主流派政治家たちから監視されていると感じる若者にとって魅力があるようだ。

今回の欧州議会選で極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」に投票したという専門学校生のクリストフさん(17)は「ドイツはい方向に進んでいない。移民に関して本当にはっきりしたメッセージを掲げているのはAfDだけだ」と語る。

移民規制と「ドイツのイスラム化」反対を唱えるAfDは、出口調査で25歳未満の有権者の得票率が11ポイント上がって16%に達した。上昇幅は全世代の5ポイントの2倍以上だ。

ドイツでは今回初めて16-18歳に選挙権が与えられ、こうした措置は左派系政党に有利とみられていただけに、この結果は注目される。

欧州全ての地域で極右が若者の得票を伸ばしたわけではなく、高齢化が進行する欧州で有権者に占める若い世代の比率は小さいとはいえ、下院選挙が行われるフランスや、来年連邦議会選挙を控えるドイツなどにとっては気がかりな流れとも言える。

<環境より経済>

ドイツの若者に対する最近の意識調査によると、彼らはインフレや住宅価格高騰、社会の分断への懸念を強め、気候変動については関心が薄れている。欧州議会選でも緑の党の若者の得票率は前回から23ポイントも下がり、11%にとどまった。

この調査で中心的な役割を果たしたシモン・シュネッツァー氏は「一生懸命働けば将来は良くなるという考えはもうなくなった。若者は今権力を握っている政党に失望している」と述べ、経済の暗さがAfDの反移民メッセージをより受け入れやすくしていると付け加えた。

前出のクリストフさんは、自分の経験を踏まえてドイツにより新しく入ってきた移民ほど暴力的で、社会に溶け込むのを嫌うと信じるようになったと明かした。

フランスでも極右の国民連合(RN)が18─24歳の有権者の25%を取り込んだことが、イプソスの分析で判明している。前回から10ポイントも上昇しており、やはり全世代の上昇幅の8ポイントより高い。

とはいえ、フランスとドイツではまだ左派政党を支持する若者が大半で、最近の傾向を懸念する声も多い。

「極右は、私のようにドイツ国籍を持っている人ですら国外退去処分にしたがっている。私にとってはドイツが母国なのに」と、トルコ系ドイツ人のエンサル・アダヌールさん(17)は心配する。

一方で、ポーランドの極右政党「同盟」は18-29歳の得票率が前回の18.5%から30.1%に跳ね上がり、この世代でトップに立っている。

同盟に票を入れたというIT技術者のパウェル・ルルコフスキさん(30)は、主流派政党は「もはや全く信頼できない。前政権と現政権がそれをはっきりと証明している」と言い切った。

<訴求力>

複数の専門家は、極右政党が若者が好むティックトックやユーチューブなどのコミュニケーションツールを比較的活用できていることが、彼らの支持拡大に成功した大きな要因だとみている。

ドイツの若者に対する最近の調査では、全体の57%がニュースや政治情報をソーシャルメディア経由で入手すると回答した。ところがドイツのショルツ首相のように多くの主流派政治家がティックトックにアカウントを開設したのはわずか数カ月前に過ぎない。

シュネッツァー氏は「若者のチャンネルに登場しなければ、存在していないことになる」と説明した。

一方でソーシャルメディア・プラットフォームのアルゴリズムは、真面目なコンテンツよりも論争を呼ぶメッセージを優先的に扱う傾向があるとの指摘も聞かれる。

例えば欧州議会選でAfDの有力候補だったマクシミリアン・クラー氏が若い男性向けに「モテる」秘訣としてティックトックに投稿した「ポルノを観るな。緑の党に投票するな。新鮮な空気の中に出かけろ。本物の男は右翼だ」とのメッセージは活発に拡散された。

ティックトックでのクラー氏のフォロワー数は約5万3000人に上るのに対して、社会民主党と緑の党の有力候補はそれぞれ1万1000人と2652人だった。

クリストフさんは「私の世代は政治について本当のところは分かっていないが、AfD(の言葉)はいつも耳にしている」と話した。

スペインでも反移民の右翼政党ボックス(VOX)がティックトックで強い存在感を放ち、25歳未満の得票率は12.4%と、全世代の9.6%を上回った。

ボックスに投票した22歳で大学生のザビエルさんは「移民やジェンダー論などのタブーの話題んついては、ボックスだけが政府に反対しているように見える」と述べた。

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Chief correspondent covering political and general news in Germany with experience in Argentina and in Cuba leading Reuters’ broader Caribbean coverage.

Madrid-raised German-American breaking news in Spain and Portugal. Previously covered markets in Germany, Austria and Switzerland, with a special focus on chemical companies and regular contributions to Reuters' German-language service. Worked at Spanish news agency EFE (Madrid/Bangkok) and the European Pressphoto Agency (Frankfurt).

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2024-06-14 08:27:00Z
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