Jumat, 23 April 2021

米ワクチン接種、ペースが鈍化 集団免疫へ正念場(写真=AP) - 日本経済新聞

米国はワクチンの接種ペースの維持が課題になっている=AP

【ニューヨーク=山内菜穂子】米国で新型コロナウイルスのワクチン接種ペースが鈍化している。22日の接種回数はピークだった13日に比べて1割超減った。州や地域によってはワクチンが余り、連邦政府などから供給を求めないところも出てきた。「集団免疫」の獲得に向けて接種を広げられるか、正念場を迎えている。

米疾病対策センター(CDC)によると、22日の接種回数(7日移動平均)は約295万回。ピークとなった13日の約338万回を境に、減少傾向が続いている。テキサス州など南部や中西部を襲った寒波によってワクチンの出荷が滞った2月中旬以来の落ち込みだ。7日移動平均ではなく実数でみても、ピークに1日460万回に達した接種回数は足元で200万~300万回に落ち込んでいる。

接種に消極派、根強く

接種ペースが落ちた背景には、接種率の高まりがある。現在、すべての州で16歳以上の人はワクチンを接種できるようになった。累計のワクチン接種回数は22日で2億1894万回。少なくとも1回の接種を終えた人は18歳以上で米人口の52%に達した。ウイルスの流行が収まる集団免疫の獲得には全人口の7割以上の接種が必要とされる。その手前で足踏みする傾向が顕著になっている。

積極的にワクチン接種を望む人への接種が一巡するなか、重要になるのが接種に消極的な「拒否層」への拡大だ。

米カイザー・ファミリー財団(KFF)の3月のアンケート調査によると、接種を「様子見する」と回答した割合は17%、「絶対に接種しない」は13%だった。「様子見する」の割合は12月の調査から22ポイント減少したものの、「絶対に接種しない」は2ポイントしか減らなかった。

CDCによると、人口あたりの接種割合は南部や中西部の州を中心に低い傾向がある。このため接種状況と支持政党との結びつきを指摘する声もある。人口10万人あたりの接種回数でみると、共和党が強い地盤を持つ南部アラバマ州は全米最低レベルで約4万9000回。民主党が支持基盤を持つ西部カリフォルニア州や東部ニューヨーク州の7割程度にとどまっている。

接種拡大へあの手この手

アイオワ州のレイノルズ知事は21日、ワクチン接種を拒んでいる人について「何を待っているのか、拒否する理由はなにか。もし答えられない場合は、時間をかけてでも再考することを願っている」と呼びかけた。

バイデン政権や州政府は拒否層の翻意へ向けあの手この手の施策を打つ。バイデン氏は21日、ワクチン接種や副作用に伴う有給休暇を設けるように企業に呼びかけ、中小企業への税制支援を打ち出した。ニューヨーク州は23日からヤンキースタジアムなど16カ所の接種会場で、60歳以上の人が予約なしで接種できるようにしたほか、フロリダ州のマイアミ・デイド郡は車を持っていない人向けに無料で接種会場に送迎するサービスを始めた。

ニューヨーク州や市は仮設の接種会場の設置や予約なしでの接種の拡大などに取り組む=AP

「ワクチン余剰」に現実味

接種が一巡するなか、急ピッチで増産したワクチンが余る可能性も指摘されている。米メディアによると、南部ルイジアナ州は供給が需要を上回っているとして、連邦政府へのワクチン供給の要請を一部取りやめた。中西部カンザス州や南部テキサス州など多くの州の一部地域では、ワクチンの割り当てを減らすよう要請したり、停止したりしているという。

米国内でのワクチンの需要が供給を大きく下回れば、最大数億回分のワクチンが余剰になるとみられている。バイデン政権はすでにカナダやメキシコに英アストラゼネカのワクチン約400万回分を供給すると発表している。日本をはじめワクチンが不足する国への供給支援も今後の課題になる。

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2021-04-23 18:56:40Z
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