【ワシントン=大越匡洋】バイデン米政権は28日、主に個人富裕層への増税を財源に育児や教育を支援し、格差の是正をめざす新たな経済政策構想「米国家族計画」をまとめた。10年間で1.5兆ドル(約160兆円)の税収増を見込み、計画の財政規模は減税分を含めて1.8兆ドルを想定する。増税に野党の反発は強く、実現へ難航は必至だ。
バイデン大統領は28日に就任後初の議会での施政方針演説に臨み、計画への協力を求める。3月末に表明したインフラなどに投資する「米国雇用計画」に続く経済政策構想の柱となる。「家族計画」は10年で財政出動1兆ドル、減税8千億ドルを見込む。
財源はいずれも増税を想定している。前回の「雇用計画」は企業増税を財源とし、15年で2.5兆ドルの税収増を見込む。「家族計画」は富裕層に的を絞った増税をめざす。両計画を合わせ、全体で必要な4兆ドル規模の財源を賄う算段だ。
たとえば連邦個人所得税の最高税率を37%から39.6%に上げ、年収100万ドル超の富裕層の株式などの譲渡益(キャピタルゲイン)にもこの最高税率を適用することを提案した。現行のキャピタルゲイン課税の最高税率は20%。金融所得への課税が勤労所得より軽いという「不公平を終わらせる」(政府高官)。
増税だけでなく「課税逃れ」にも厳しい態度で臨む。内国歳入庁による富裕層や企業への税務調査を徹底し、10年間で7000億ドルの税収増をめざすという。
所得の再配分を促すため、集めた財源を子育てや教育の支援に振り向ける。格差の拡大を食い止めるには、集中する富を分配するだけでなく、人種や所得の違いなどで生じる不公平を減らし、将来の経済成長につながる土台づくりが必要との考えからだ。
中低所得層の保育負担の軽減に2250億ドル、介護など包括的な有給休暇制度の確立に2250億ドル、幼児教育の機会拡充に2000億ドルといった支援策が並ぶ。
3月の1.9兆ドルの経済対策で拡充した子供がいる世帯の税額控除の期限を2021年末から25年末まで延ばすことも提案している。拡充期間の控除額は3000ドル(6歳未満は3600ドル)。低所得で納税額が少ない場合でも、控除額を満額利用できる仕組みを恒久化し、子育て世帯への事実上の手当とすることをめざす。
同時に学び直しの機会を増やすため、日本の短大にあたるコミュニティーカレッジの無償化に1090億ドルを投じるとした。義務教育に加えて「無償公的教育期間を上乗せする」と訴える。
米国の上位1%の超富裕層の純資産は2020年の1年間で約4兆ドル増えて39兆ドルに迫り、全世帯の下位半分の15倍の規模となった。中間層が細り、教育にお金をかけられない層が増えた。底辺を引き上げて経済の成長力を高めるとともに、経済のパイそのものを持続的に拡大していけるかどうかが課題となる。
税財政の決定権限を握る議会との調整は難航が予想される。野党・共和党は増税に反対している。富裕層を狙ったキャピタルゲイン課税の強化に対し、金融界では市場への悪影響を懸念する声が根強い。民主、共和両党の議席が50ずつで拮抗する上院で、民主党議員全員が構想に賛成する保証はいまだ得られていない。
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2021-04-28 09:15:00Z
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