警察・軍に狙われるジャーナリスト
2月26日、日本人ジャーナリストがミャンマーで拘束されたというニュースは国内外で大きく報道された。 ヤンゴン在住の北角裕樹氏は日本の主要メディア向けにニュースを発信しており、拘束された日も市内でデモの様子を撮影していたそうだ。幸いにも即日無事に開放されたものの、当時の様子はどうだったのだろうか。 「その日は朝から軍政に反対する抗議集会の取材をしていました。高架下で音楽を演奏するグループやスローガンをみんなで繰り返し叫んでいるグループがおり、落ち着いた現場でした」 でも、しばらくすると警察がやって来て、デモをやめさせようと近づいてきた。 「大きな盾を持った警察が横一列に並び、盾を警棒で叩いて音を鳴らしながらデモ隊に少しずつ迫って、デモ隊を追い出そうとして来たんです。デモをする若者が後ろに下がり、逃げようとしていたので、一緒に移動しながら撮影していたのですが、いつの間にか警察に狙われていたようです」 「地元メディアの他のジャーナリストたちとともに警察に追いかけられ、走って逃げたのですが、挟み撃ちにされ、逃げ道が塞がっていたのでもう逃げられないと思い、手を挙げました。それなのに手を捻り上げられ、殴られたんですよ」 その際に揉み合いになり、警棒のようなもの背中を強く殴られた。そして、身に付けていたカメラや眼鏡などを取られ、両脇を警察に抱えられて100m先の護送車に押し込められた。 護送車に乗せられる時は、蹴られて中に入れられた。護送車には他に6名が乗っており、デモの参加者や支援者などがいたそうだ。大学生くらいの若者から中年くらいの人までがいた。 護送車の中には1時間以上閉じ込められ、その後周辺の地域で捕まった人たちが次々に中に押し込まれてきた。 「ケガ人も1人いたのですが、中にいた人たちみんなで手当てをするなど、逮捕された人同士で助け合っていました。デモをして捕まった若者も自分はいいけれど、親や家族が逮捕されるなど、迷惑がかかったらどうしようと困っていましたね。 その後、警察署に運び込まれ、荷物を取られて一つ一つ何が入っていたのかをチェックされました。それから、何十枚も色々な角度から写真を撮られました。身長を測る目盛が壁に刻まれていて、その前に立たされて写真も撮られましたよ。そして、日本大使館に連絡したいと言ったら、電話をさせてもらえました」 しばらく一緒に拘束された人たちと一緒に警察署の中で待たされたが、その後すぐに開放されたそうだ。警察側も、北角氏については早い段階で解放することを決めていたようだ。 「何が解放の決定的な要因だったのかはわかりませんが、大使館も警察と連絡を取っていたようですし、ほかにも動いてくれた人がいたのだと思います。私が捕まった直後にそのことを知り、ずっと後をつけて、連行された場所を特定してくれた人もいました」 拘束されていたのは5~6時間で、手荒なこともされなかったそうだ。ただし、デモの様子を直前まで撮影していたカメラのメモリーカードは抜き取られ、返してもらえなかった。 「ミャンマー人の知り合いも迎えに来てくれました。警察の前に大勢の人がいました。ジャーナリストもいましたが、中にいる人の解放を懇願して警察署の前に並んでいた人も多かったです。中にいると思われる人の安否を聞かれたりもしました」 「私の解放に力を尽くしてくれた人たちには感謝のしようもありません。ただ、残念ながら一緒に逮捕された人たちがその後解放されたかはわかりません」 今ミャンマーでは多くのジャーナリストが警察のターゲットになり、多数が拘束されている。夜遅くに自宅に軍がやってきて銃を突きつけられ、そのまま逮捕された31歳のジャーナリストもいる。 「私が拘束された翌日、友人の地元の女性ジャーナリストも逮捕されました。平和的なデモの様子をただ取材していただけなのに、起訴されて刑事手続にまで入ってしまったようで辛いです」 ミャンマーの政治犯支援協会(AAPP)によると、クーデター発生後、3月7日時点で約1500名が拘束され、逮捕状の出た人も合わせると約1800名以上になる。拘束後すぐに解放されるケースも稀にあるが、今も多くの人が拘束されたままだ。 解放された女性のなかには集団で強姦されたという証言もあり、逮捕された人々がどんな状況に置かれているのかもわからない。10代など未成年者の逮捕も非常に多く、ユニセフは500名以上の子供が拘束されたと発表している。 「私は幸運にも自由を取り戻せましたが、多くの人が不当に拘束されたままです。早い解放を願っています」 デモの現場では催涙弾が投げられることも、発砲もありうる。危険が及ぶかもしれない現場に恐怖を感じないのか。 「日本大使館の方にもお気をつけくださいとは言われましたが、デモ現場に近づかなかったとしても、ヤンゴンではもう絶対安全と言えるような場所がなくなってきています。ミャンマーの状況は日に日に悪くなる一方です。今も拘束されている人たちなどのためにも、安全に細心の注意を払いながら取材し、広く伝えて行きたいと思います」
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2021-03-08 10:03:49Z
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