<荒唐無稽な予言の主たる根拠は、アメリカは1871年に株式会社化されており、それ以降の大統領は正統な大統領ではないという反政府過激主義>
アメリカを動かす影の政府「ディープ・ステート」や悪魔崇拝の小児性愛者組織とトランプが戦っているというQAnon(Qアノン)陰謀論を信じる人々は、大統領に再選されたトランプがこれらの敵を倒してくれると本気で信じていた。
だがトランプは大統領選で敗北し、大統領就任式の日にディープ・ステート関係者を一網打尽にして処罰することもできなかった。失望したQアノン信奉者は次は今、3月4日を新たなターゲットに定めている。
ジョー・バイデンは1月20日の式典を無事に終えて新大統領に就任し、2017年後半以降のQアノンの予言はすべて外れた。だがQアノン信奉者は真実ではなく信じたいものを信じる。簡単にはへこたれない。次は、トランプがどうにかして3月4日に大統領に就任するという予言を信じている。
3月4日をめぐる陰謀論は1月から噂されている。Qアノンはトランプが大統領ではなくなったにもかかわらず、「計画」がまだ進行中であることを示す新しい方法を発見し、支持者はひたすら「信仰」を保つ必要がある。
この日付に関する関心が再び浮上したのは、ワシントンにあるトランプ・インターナショナル・ホテルの3月4日の宿泊料金が1331ドルに引き上げられたからだ。3月の通常の宿泊料金は大半が596ドルなのでその2倍以上、1番安い部屋のほぼ3倍に値上げされたことになる。
別の陰謀論のアイデア拝借
ワシントンにあるこのホテルは以前も、トランプの支持者にとって重要な日に宿泊料を値上げしたことがある。Qアノンの信者が参加していた連邦議会への乱入事件が起きた1月6日の夜は、一泊8000ドルにはねあがっていた。
Qアノン運動の最も新しい予言は、連邦政府の法律や納税義務に従う必要がないと考える反政府過激主義のソブリン市民運動の理論に根差したものらしい。
この運動は1871年に制定されたある法律によりアメリカは密かに国家ではなく株式会社になった、という信念に基づいている。したがって、1869年に第18代大統領に就任したユリシーズ・グラント以降の大統領はすべて、正統な存在ではないと考える。
彼らはまた、フランクリン・D・ルーズベルトが金本位制を停止した1933年以来、アメリカは正体不明の投資家のグループによって運営されていると主張している。大統領就任式の日取りも1933年に3月4日から1月20日に変更された。
公民権を守る非営利団体の南部貧困法律センター(SPLC)が指摘したように、ソブリン市民のメンバーは、訴訟沙汰になると、自分たちの主張を支持する「法的に見えるでたらめが詰まった数百ページもの文書」を職員に提示する。
FBIはソブリン市民運動の過激派を、国内テロを引き起こす危険があり、メンバーが多くの暴力的な事件の背後にいると見ている。また、Qアノンとソブリン市民運動が唱える多くの理論は反ユダヤ主義に基づいている。
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2021-02-10 10:53:49Z
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