アメリカ各地が厳しい寒波に襲われており、17日までに少なくとも21人が死亡した。テキサス州内は深刻な停電に見舞われており、そうした中で「生き延びるのは強者のみだ」と主張した市長は批判され、辞任した。
アメリカはフロリダ州やカリフォルニア州南部などを除き、ほとんどが記録的な寒さや降雪に見舞われている。これほどの寒さが珍しいテキサス州では電気の需要が一気に急増したため、各地で停電が起きている。
これまでにテキサス、ルイジアナ、ケンタッキー、ノースカロライナ、ミズーリの各州で、寒波が原因とされる死亡が記録されている。一酸化炭素中毒や凍死のほか、ノースカロライナ州では竜巻のため3人が死亡した。
ほかにも複数の州で、新型コロナウイルス・ワクチンの接種会場が一時閉鎖を余儀なくされ、ワクチンの配達も遅れている。一部の接種会場では、電力不足から必要な温度管理ができなくなり、ワクチンを急ぎ使いきろうとスタッフが対応を迫られた。
予報では、今回の極端な寒波は今週末まで続く見通し。
米国立気象局(NWS)は17日午後、寒波の中心はテキサス州を通過したとしつつ、国内1億人に対して寒さを警戒するよう呼びかけた。歴史的な低気温は今後も数日は続く予報で、アメリカ国内の71%に積雪がみられる。
国境を越えてメキシコ北部や中部にも寒波は到達し、数百万人が連日、断続的な停電を経験している。
寒さの備えがない州でも
テキサス州は30年来の寒波に襲われ、14日には一部地域で摂氏零度に達した。ジョー・バイデン大統領はすでに同州に非常事態宣言を宣言し、連邦政府の支援を提供している。
州内ではまだ約200万人が停電状態にある。グレッゴ・アボット州知事は17日午後に記者会見し、州民120万人の住宅で電力が回復し、今後も回復は続くと述べた。
アボット知事は当初、州内の停電は再生可能エネルギーのせいだと発言していたものの、17日には州内のあらゆる電源が「影響を受けた」と認めた。
テキサス州内の民家は通常、防寒対策をとっていないことが多い。このため暖房装置が使えなくなった途端、室内温度は急速に低下し、多くの建物で凍結した水道管が破裂した。
「公衆衛生上の大惨事」
これまでにテキサスなど複数の州で、交通事故のほか一酸化炭素中毒などが原因で死亡している。車内や室内でエンジンや発電機をつけ、暖をとろうとしたことが、一酸化炭素中毒につながったとみられている。
テキサス州ハリス郡では、一酸化炭素中毒と思われる症状の人が寒波の最中に300人以上報告されている。医師の1人は地元紙ヒューストン・クロニクルに「大量の犠牲者が出る事態になっている」と話した。
同州ヒューストンの医療当局者は地元テレビ局に、「これは完全に公衆衛生上の大惨事だ。もちろん寒くなれば一酸化炭素中毒は起きるが、これほどの人数は通常ではあり得ない」と述べた。
ヒューストンでは民家火災で少なくとも4人が死亡。消防当局は、ろうそくの火が出火原因かもしれないとしている。別の事案では、ヒューストン市内の幹線道路沿いで凍死したとみられる男性2人を警察が発見した。
ツイッターではクリス・ピンスさんが「自分はテキサス州ヒューストンにいて、凍え死にしそうだ。電気も暖房も水道も使えない。小さい子供が4人いるのに。どうしてこんなことになってるんだ?」と書いた。
ジョシュ・モーガーマンさんはツイッターで、テキサス州の友人が暖をとるために「家具を暖炉で燃やす」ところまで追い込まれていると書いた。
テキサス電気信頼性評議会(ERCOT)の幹部は17日、CNNに対して、州内では18日まで輪番停電が続くとの見通しを支援した。
世界的にハリケーンや熱波、洪水などを含む異常気象が増えているのは、気候変動の影響だと科学者たちは指摘している。
同州中部フォートワース郊外に住むチャック・ヘアストンさんは16日にBBCに話した時点で、すでに31時間連続して電気がない状態だと述べた。
「家中のありとあらゆる毛布と枕をかけて」家族と暖炉の前で眠ったとヘアストンさんは話し、近隣のすべてのホテルの連絡してみたものの、満室か、そこも停電していたという。
「自分で何とかしろ」と主張の市長は辞意
こうした中、テキサス州中部コロラドシティ(人口約4000人)のティム・ボイド市長は16日、フェイスブックに「生き延びるのは強者のみだ、弱者は死んでしまう」と投稿した。
ボイド氏はすでに削除された長文の投稿で、「ちょっと時間ができたので、一部の人の気持ちを傷つけてみる」と前置きし、「泣いてほどこしを待つのをやめろ」と主張。「あなたやあなたの家族にために、誰も何も、何かしてやる義理などない。自治体には、こういう時にあなたを支えてやる責任などない! 浮くか沈むか、それは自分で決めろ! 市も郡も電力提供者もその他のサービスも、どこも、あなたに何かしてやる義理などまったくないんだ!」と強い調子で書いた。
「みんな電気と水がない状態におかれてしまって、残念だ。そう! でも自分で何とかできるやつに、こちらから提供なんかしてやるものか!」
「神様はこういう時に自分で自分を支えるための道具を与えてくれた。少数の人間が働くからと信じさせて、それ以外はほどこしに依存するようになる、これは残念ながら社会主義政府の産物だ」とも、ボイド氏は書いた。
ボイド氏は16日午後に別の投稿で、辞表を提出したと書き、自分の言葉遣いを謝罪。「高齢者を決して傷つけたりしないし、本当に助けを必要とする人を放置などしない」と書き、「自分でなんとかできるのに、何もしようとしない怠慢な連中には、ほどこしを与えるべきではないと言いたかっただけだ」と述べた。
ボイド氏によると自分の発言のために、妻は解雇され、家族には「憎悪まみれの」メッセージが届いている。
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2021-02-18 08:55:14Z
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