ロシアと中国が欧米諸国に対してサイバー戦で攻勢を掛けている。新型コロナウイルスの感染拡大後、スパイ活動やSNS(交流サイト)などを通じた情報工作が一段と目立ってきた。ロシアと中国は自国のサイバー空間の統制を強める一方、民主国家をサイバー攻撃で揺さぶる。選挙介入への警戒も強まっている。
英米カナダは16日、新型コロナのワクチンを開発する研究所に対してロシアのハッカー集団がサイバー攻撃を仕掛けたとの非難声明を発表した。ロシア情報機関が関与し、ワクチン情報を狙ったと見ている。米当局は先に中国がサイバー攻撃によりワクチンや治療法の情報を盗もうとしていると研究機関に警告を発している。

英政府は、ロシアのハッカー集団による新型コロナワクチンを開発する研究機関へのサイバー攻撃の疑いを指摘した=ロイター
中ロともに欧米と対立を深めており、軍事、経済面での圧力にサイバー空間での攻撃を絡めて対抗する傾向を強めている。両国とも軍と情報機関の傘下にサイバー部隊を擁し、民間や犯罪組織のハッカー集団も工作活動に関与させていると見られている。
中国の部隊は10万人規模とされ、機密情報の盗みを繰り返している。2020年に相次いで起きた三菱電機やNECの防衛事業の機密を狙ったハッキングも中国による攻撃だったとの見方が有力だ。
欧米当局は情報工作にも警戒を強める。英政府は16日、ロシアのハッカーが不正に入手した英政府の内部文書をSNSで拡散し、19年末の英総選挙に介入していたと発表した。欧州連合(EU)は中ロが新型コロナ危機をあおるような陰謀論や偽情報を世界に流布していると報告している。
ロシアは16年、サイバー攻撃とSNSを通じた世論工作により米大統領選に介入した。米議会では11月の大統領選へのロシアや中国の干渉に懸念が高まる。選挙介入など「悪意に満ちた活動」を巡ってロシアは米国の制裁を受けているが、工作活動を緩めていない。
民主国家の防衛策には限界がある。例えば、16年の米大統領選への介入を受けてSNS各社は監視を強めているものの、いたちごっこの様相が否めない。ツイッターは最近も偏った情報を発信したとして、中国政府やロシア当局に関連すると見られる20万件近いアカウントの凍結を発表した。
北大西洋条約機構(NATO)高官はサイバー防衛について、「反撃の意図を示して相手に攻撃を思いとどまらせる『抑止』しかない」と指摘する。この抑止戦略は軍やインフラ施設の防衛を想定しており、個々のスパイ活動や情報工作を止められるわけではない。中ロへの警告を繰り返し発する欧米当局にはサイバー攻撃に対する有効な対策を打ち出せない手詰まり感が透ける。
(編集委員 古川英治)
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiPGh0dHBzOi8vd3d3Lm5pa2tlaS5jb20vYXJ0aWNsZS9ER1hNWk82MTY1NzM0MFgxMEMyMEE3RUExMDAwL9IBAA?oc=5
2020-07-17 09:15:00Z
52782590610264
Tidak ada komentar:
Posting Komentar