
4日、トランプ米大統領は左派が自由を脅かしていると重ねて批判した(ワシントン)=AP
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は4日、独立記念日を祝う式典をホワイトハウスで開いた。演説では自由を守ってきた歴史を振り返り、米軍も総動員し国威発揚を狙った。一方で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため恒例の花火大会が8割程度の市町村で中止になり、全米では静かな祝いとなった。
トランプ氏は式典で、米軍が第2次世界大戦で自由を守るためにナチス・ドイツなどと戦い「米国の価値を守った」と指摘。「今を生きる全ての米国民は偉大な遺産を受け継いでいる」と強調した。一方で左派勢力が自由を脅かしていると重ねて批判し「我々はマルクス主義者や無政府主義者に勝利する」と訴えた。
新型コロナをめぐっては「中国の秘密主義や偽り、隠蔽によって世界中に拡散した」と批判。「中国に十分な責任を取らせる」と強調し、米国に広がる中国に対する反抗心をあおった。中国を念頭に「関税の力」によって「いままではありえなかった偉大な貿易協定を実現した」とも誇った。
国威発揚に向け、昨年に続いて米軍をフル活用した。陸軍のパラシュート部隊が国旗を持って落下する際には国歌の演奏が行われた。戦略爆撃機B2やステルス戦闘機F35、輸送機オスプレイがワシントン上空を飛行。空軍と海軍のアクロバット飛行部隊や大統領専用機も参加し、観衆を沸かせた。式典の終盤には陸海空軍などの軍旗を持った部隊にトランプ氏が敬礼した。
式典はワシントンのムリエル・バウザー市長が反発する中で行われた。バウザー氏は4日、ツイッターで「独立記念日に自宅にとどまっても失望することはない」と書きこんだ。多数の人が市内に集まればコロナの感染者が増加しかねないためだ。「もし外出するならマスクを着用し、他人との距離を保つべきだ」とも訴えた。ホワイトハウスの式典の参加者でマスクを着用する人は少なかった。
全米ではコロナの影響を受けて式典が控えめに行われた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、全米の約8割の市町村で毎年恒例の花火が中止になった。トランプ氏を支持する保守層が多い中西部カンザスやインディアナ、西部ユタの各州などでも中止する例が目立つ。独立記念日の花火大会で半分以上の収入を稼ぐ花火業者に打撃になったという。
新型コロナの検査動向を調査している「COVIDトラッキングプロジェクト」の集計によると、米国では4日のコロナの感染者は東部時間午後6時(日本時間5日午前7時)時点で約5万2000人。4日連続で5万人を超えた。南部フロリダ州では過去最高を更新した。同州マイアミでは3日からコロナ拡大を防ぐために夜間外出禁止令が出されている。
トランプ氏のコロナや黒人差別撤廃デモへの対応に批判が根強く、支持率が下がっている。共和党系の政治コンサルタントのダグラス・ヘイ氏は「あまりにも分断をあおる言動は控えるべきだ」と指摘する。米国民に模範を示すためにマスクを着用すべきだとも訴えている。
米調査会社ギャラップによると、「米国民であることを誇りに思う」との回答は2020年に63%と01年以降で最低になった。共和党員に限っても67%と前年に比べて9ポイント下がった。「米国第一」を掲げて国威発揚を狙うトランプ氏にとって誤算だ。
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2020-07-05 01:24:11Z
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