ジョージ・ライト、BBCニュース
ロシアの首都モスクワで9日、第2次世界大戦の対独戦勝記念日を祝う式典が開かれた。ウラジーミル・プーチン大統領は演説で、ロシアの未来はウクライナで戦う兵士たちに「かかっている」と語った。
「いま、あなたたちの戦闘努力以上に重要なものはない」と、プーチン氏は述べた。
第2次世界大戦で旧ソ連がナチス・ドイツに勝利したことを記念する軍事パレードは、安全保障上の理由から縮小された。
プーチン氏は演説で、ウクライナ侵攻を正当化し、「西側のグローバリスト(地球全体を一つの共同体とみなして世界の一体化を進める思想を持つ人)のエリート層」が紛争を引き起こしていると非難した。
モスクワ中心部の赤の広場で開かれた式典には、政府関係者や退役軍人のみが集まった。プーチン氏は、文明が再び「決定的な転換期にある」と語りかけた。
そして、現実にはロシアがウクライナに侵攻したにもかかわらず、ロシアに対して「真の戦争」が「起こされた」と、ウクライナでの戦闘に従事する兵士(その一部も式典に出席していた)に向けて述べた。
「今日、国の安全はあなたたちにかかっている。国家の地位、そして国民の未来はあなたがたにかかっている」
侵攻後2度目の戦勝記念日、規模は縮小
この日の軍事パレードは、ロシアが2022年2月にウクライナへの全面的な侵攻を開始してから2度目の戦勝記念日のパレードとなった。
ただ、ロシア各地ではここ数週間、爆発や破壊工作が相次いでおり、安全保障上の理由から祝典の規模は縮小された。
今年の式典に出席した兵士の数は昨年より3000人少なく、披露された軍用装備品も少なかった。パレードも縮小され、儀礼飛行もなかった。通常はパレードの目玉となっている近代的な戦車も登場しなかった。登場した戦車は第2次世界大戦時代のT-34だけだった。
一方で、2020年以来初めて、数カ国の指導者が出席した。
赤の広場には、カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領ら中央アジアの全ての国の首脳のほか、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領とアルメニアのニコル・パシニャン首相の姿もあった。
米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は、中央アジアの各国首脳が出席を決めたタイミングが遅かった理由について、「戦争への直接的かつ公的な支持を示すことに躊躇(ちゅうちょ)していることを示しているのだろう」と指摘した。
西側を強く非難する演説
プーチン氏の演説テーマは昨年と同様のもので、ウクライナの「犯罪者政権」との戦いを、ナチス・ドイツに勝利した戦いになぞらえた。
また、西側諸国の「目的は、わが国の崩壊を見ることにほかならない」と非難した。
プーチン氏は、ロシアは「平和な未来」を望んでいるとしながら、西側のエリート層が「憎悪とロシア恐怖症」の種をまき、家庭の価値観を破壊しているとした。
演説の大半は、ウクライナにおけるロシアの「英雄たち」の行動に対する、プーチン氏の誇りに焦点があてられた。
「我々の軍隊に対する愛ほど強い大義はこの世界に存在しない」と述べる場面もあった。
ロシア国歌の演奏が始まるなか、プーチン氏は「ロシアのために、軍隊のために」と演説を締めくくった。
国際社会の反応
プーチン氏の演説の後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はウクライナの首都キーウで記者会見を開いた。
ゼレンスキー氏は、ここ数週間で増加しているウクライナに対する攻撃について、戦勝記念日を前に東部の都市バフムートを奪えなかったロシアが、軍や政治指導者に「何かを提示」しようとする取り組みの一環だと指摘した。
「彼らは何かを破壊したことを示さなければいけない状況にある」
フォン・デア・ライエン氏は、ロシアは戦争で「劇的に失敗」しており、同国の戦力として「侵略者たちは刑務所から引きずり出された」と述べた。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は、欧州連合(EU)はロシアの指導者の「力の誇示」におじけづいてはならないとした。
「必要である限り、ウクライナへの支援を堅持しよう」と、ショルツ氏は欧州議会で述べた。
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2023-05-10 02:51:11Z
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