自らがウクライナ侵略を進めながら、被害国であるかのように祖国防衛を主張するのは、虚言も甚だしい。侵略の実相を隠すための論法だろう。ロシアの威信を
ロシアで旧ソ連の対ナチス・ドイツ戦勝利を記念する式典が行われ、プーチン大統領が演説した。戦勝記念日の式典は毎年、国民を鼓舞する役割を果たしてきた。
プーチン氏は式典を利用し、侵略への支持を広げたかったはずだが、演説ではウクライナの戦況について一切言及しなかった。
モスクワの「赤の広場」の軍事パレードで行進した軍人や、登場した武器の数も、例年より少なかった。戦車は、数十年前の旧式1両だけだ。20以上の都市では、パレード自体が中止された。
プーチン氏が国民に誇示できる「戦果」がなく、パレードに兵力を振り向ける余力すら乏しくなっていることの表れと言える。
1年前、ロシア軍はウクライナ領の20%を占領し、さらなる拡大を目指していた。その後、反攻にあい、現在は17%に減っている。激戦地のウクライナ東部でのロシア側死傷者は、昨年12月以降、10万人を超えているとされる。
こうした中で、プーチン氏は、「我が祖国に本当の戦争が再び仕掛けられた」と述べ、米欧がロシアに攻撃を加えているかのようなウソを並べ立てた。
戦場はロシアではなく、ウクライナである。ロシアが国際秩序を踏みにじり、侵略を始めた事実をねじ曲げることは許されない。
例年、対独戦勝記念日には、市民が第2次世界大戦の犠牲者を追悼する行進を各地で行ってきた。それが、今年は中止になった。
プーチン政権は、追悼行進に集まった国民の中から、ウクライナ侵略に反対する抗議デモが起きる事態を恐れたのではないか。
ウクライナの戦況は、消耗戦の様相が強まっているが、プーチン氏は世論の反発を招く動員令の発動に踏み切れないでいる。
前線で戦っているロシア側の兵士の多くは、露民間軍事会社「ワグネル」が集めた囚人だ。ロシア軍とワグネルの指揮・命令系統の乱れには目をつぶり、ウクライナ側を中長期的に疲弊させる戦術を今後も続けるのだろう。
一方、ウクライナは近く大規模な反転攻勢に出る構えだ。プーチン氏に撤収や停戦を迫るうえでもロシア軍に打撃を与え、領土奪還で目に見える戦果を上げる必要がある。米欧はそのための支援を送らねばならない。
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2023-05-10 20:00:00Z
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