ロシアの雇い兵会社「ワグネル」の代表、エフゲニー・プリゴジン氏(61)は5日、ウクライナ東部バフムートの戦闘から「ワグネル」は離脱すると表明した。極端な弾薬不足を理由として、ロシアの国防当局を非難している。
プリゴジン氏は、ワグネル兵の遺体が多数横たわる中を歩く自らの動画をソーシャルメディアに投稿し、ロシア国防省を激しく非難。「数万人」がバフムートで死傷したとして、「ショイグ! ゲラシモフ! 弾薬はどこだ! この連中は志願兵として来てお前たちのために死んでいった。お前らが豪華なマホガニーのオフィスでぶくぶく太っていけるように」など、激しい表現を交えながらセルゲイ・ショイグ国防相とヴァレリー・ゲラシモフ総司令官を罵倒した。
さらに声明でプリゴジン氏は、弾薬が不足しているため、ワグネル兵の犠牲は「連日、幾何級数的に増え続けている」と述べた。
ロシア政府内で激しい権力闘争が続くとされる中、プリゴジン氏はこれまでもしばしばショイグ国防相とゲラシモフ総司令官を名指しして批判してきた。
ただしプリゴジン氏は、第2次世界大戦の戦勝記念日にあたる5月9日までは戦い続け、10日から離脱すると述べた。
東部都市バフムートの戦略的価値は明確ではないものの、ロシアは昨年後半から攻略のため戦闘を続けている。正規軍だけでなくワグネルも大々的に参加してきた。
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米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は1日の記者会見で、ウクライナ侵攻によるロシア側の死者が、昨年12月以降で2万人を超えているとの見方を示した。うち半数は「ワグネル」の所属だという。新たに機密解除された情報をもとに記者団に説明した。
「無意味で不当な被害」
離脱表明に先立ち投稿した動画で、プリゴジン氏は居並ぶワグネル兵の前に立ち、「バフムートでの戦闘拠点を国防省の部隊に託し、ワグネルの残存部隊は補給拠点へ後退する。そこで我々は傷をなめる」と述べた。
「弾薬のないまま、バフムートで無意味で不当な被害をうちの連中が負うなどあってはならない」とも述べた。
プリゴジン氏が5日に公表した複数の動画のひとつは、バフムート中心部から約2キロの地点で撮影されたもよう。BBCは映像内の植生など目印となる特徴を、現地の衛星写真に照合した。
「プーチンのシェフ」とも呼ばれたプリゴジン氏はこれまで、何かにつけ世間の注目を集めようとしてきた。この数カ月でロシア政府内の影響力が後退しつつあるともみられている。過去にも、何かをすると脅しては実行せず、あれは冗談だったとごまかすなどしてきた。
先週にもロシアの戦争支持ブロガーに、バフムートのワグネルは銃弾が枯渇(こかつ)しつつあり、大々的な補給が必要だと話していた。
ロシア政府は、プリゴジン氏の今回の発言についてコメントしていない。
ウクライナ軍は、バフムート周辺での戦闘の勢いに変化はないとしている。
ウクライナ軍当方司令本部のセルヒイ・シェレヴァトイ報道官はBBCウクライナ語に対して、「プリゴジンはもう何か月も前から、自分に注目を引き付けるため、とんでもない発言を繰り返してきた」と話した。
ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は、ロシアは戦勝記念日の9日までにバフムートを攻略しようと必死だと話した。
アメリカを拠点とする軍事アナリストのロブ・リー氏は、ワグネルが弾薬不足について文句を言い続けるのは、おそらくロシア国防省がウクライナによる本格的な反攻に備えて、弾薬の使用を抑制しているからだろうとツイッターで指摘した。
正規軍はウクライナとのすべての前線を守らなくてはならないが、プリゴジン氏はバフムートを制圧さえすればそれでいいのだろうと、リー氏は書いている。
プリゴジン氏はウクライナの本格反抗は、春の雨が過ぎ、乾いた地面の上を戦車や大砲が移動できるようになった時点で、今月15日までに始まるだろうと予測している。
プリゴジン氏は最近では、ロシア軍の補給担当国防次官を解任されたばかりのミハイル・ミジンツェフ上級大将を、ワグネルに採用したようす。
ウクライナ南部マリウポリの包囲戦をめぐり「マリウポリの虐殺者」と呼ばれているミジンツェフ上級大将について、雇い兵への弾薬支給に積極的で、ワグネルによる受刑者募集にも協力的だったとプリゴジン氏は評価していた。
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2023-05-06 03:08:21Z
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