【ヒューストン=花房良祐】大型ハリケーン「イアン」が米東部時間28日午後3時（日本時間29日午前4時）ごろ、米南部フロリダ州に上陸した。28日午後時点で少なくとも150万件の停電が発生。米メディアは米本土を直撃したハリケーンとしては過去5番目に強力だと伝えており、警戒を呼びかけている。
イアンは「カテゴリー4」の位置づけで、風速は時速約250キロメートル。あと数キロで最高基準「カテゴリー5」に達する。「カテゴリー5」で米本土に上陸したハリケーンは1851年以降で4つしか観測されていない。ブルームバーグ通信は670億ドル（約9兆6000億円）の被害が発生する可能性があるとの予測を伝えた。
沿岸部で最高約5.5メートルの高潮となる恐れがある。ハリケーンは米国の東海岸沿岸部を北上するとみられている。
バイデン大統領は27日、フロリダ州のデサンティス知事と対応を巡り協議した。災害対応で州兵4500人以上が動員された。デサンティス知事は28日、州内67の郡を対象とする大規模災害の宣言をバイデン大統領に要請した。地元電力会社フロリダ・パワー&ライトは破壊された一部の電力設備の復旧には時間がかかるとの見通しを示した。
フロリダ州の250万人以上が避難指示の対象となった。当局は逃げ遅れた住民に対しては屋内の安全な場所にとどまるように呼びかけている。同州のオーランドやマイアミなどに発着する28日の約2000便、29日の約1600便が欠航になったと報じられた。テーマパーク「ディズニーワールド」も28、29日は休園とする。フロリダ州は世界有数のオレンジの生産地で、農作物の被害も懸念されている。
石油メジャーの米シェブロンなどはハリケーンが近づいたことでメキシコ湾沖の一部の原油生産設備の稼働を停止し、作業員を退避させた。エネルギーインフラへの被害が懸念されるなか、バイデン大統領は28日、石油会社に対しガソリン価格を上げる理由にしないよう警告した。
フロリダへの上陸に先立ち、カリブ海のキューバではハリケーンの被害で少なくとも2人が死亡し、全島で停電が発生した。
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2022-09-28 20:13:09Z
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