<7月に宇宙ロケットで旅立つベゾス氏は、もうそのまま宇宙にいれば良い......。こんな署名活動が話題を呼んでいる>
「ジェフ・ベゾスの地球帰還を許すな」。このように銘打った過激な署名キャンペーンを米北東部ミシガン州の住民が立ち上げ、14万人を超える賛同者を集めている(7月2日現在)。署名活動はオンラインの署名収集サイト『Change.org』上で現在も継続中だ。
発起人の「リック G」を名乗るユーザーは署名活動のページにおいて、「億万長者など存在すべきでない...地球上にも、宇宙にも。しかし後者を選択したのであれば、ずっとそこに留まるべきだ」と述べ、痛烈な批判を展開している。6月10日に公開されたこのキャンペーンは、およそ2週間で10万人の賛同者を集め、3週間で13万人を超えた。
リック G氏の怒りは収まらない。6月24日には署名ページに長文を追加投稿し、「彼は金銭的にも感情的にも疑いの余地なく人類の大多数から隔たっているだけでなく、私たちを人間たらしめるものからも遠い存在となった。そしていま、個人で出資するロケットで地球の大気圏外へと出ることにより、完全な隔離を実現しようとしている」などと皮肉たっぷりに綴る。
Amazon共同創設者として知られるベゾス氏は、航空宇宙を手がける民間企業「ブルー・オリジン」の設立者でもある。今年7月20日に同社が打ち上げる宇宙船「ニュー・シェパード」での有人飛行に加わり、計15分足らずの飛行時間のなかで数分間の無重力状態を体験する計画だ。
貧富の差に不満が爆発
リック G氏は、これまで崇高な目的を持って実行されてきたロケット開発を個人の満足感を満たすために行うことを批判したうえで、地球には食糧不足や医療問題、清潔な水さえ手に入らない人々など、さまざまな課題が残されていると指摘する。山積する問題の解決にこそ資金を投じるべきではないかというのが氏の主張だ。
アメリカ国内では医療制度の崩壊による破産も問題となっており、薬を手に入れるために食費を削らなければならなかったり、家を失ったりという家庭も多い。「どれだけ我慢すれば限界なのか、私たちは自問すべきだ」とリック G氏は述べ、一部の富豪に財が集中する社会の不合理を訴える。
貧富の差は年々拡大しており、いまや米最大の社会問題のひとつとなった。ブルームバーグは2019年の記事において、経済格差は拡大傾向にあり、現在ではアメリカの納税番付の上位0.1%が全国民の富の20%を占めている、との調査結果を伝えている。一方、社会の対極では貧困がまん延しており、下位半分の人々を合計すると、その純資産の額はマイナスになるという。
リック G氏は、「億万長者たちは依然として労働階級の人々を、突如として金に糸目をつけなくてよくなるエリート階級への踏み台として利用し、文字通り地球に置き去りにしてパンくずの奪い合いをさせようとしている」 と糾弾している。
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2021-07-02 07:00:32Z
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