2020年05月04日16時46分
【台北時事】台湾南部の最大都市・高雄の韓国瑜市長(62)が罷免の危機に直面している。韓氏は今年1月の総統選で蔡英文総統に敗北したばかりで、まさに泣き面に蜂の状態。リコール(解職請求)の賛否を問う住民投票が6月6日に行われる予定で、成立すれば台湾初となる。
最大野党・国民党所属の韓氏をめぐっては、複数の民間団体が「市政をないがしろにして総統選に出た」と市民にリコールを呼び掛け、約38万人から有効署名を集めた。これにより、公選法が定める住民投票の実施条件をクリアした。
野党「時代力量」が4月中旬に高雄市民を対象に実施した世論調査によると、韓氏の解職に賛成と答えた人は52.1%に達した。規定では、賛成票が反対票を上回った上で、有権者数の4分の1(約57万)以上になれば、リコールが成立する。調査では65.6%が「投票に行く」と答えており、成立の可能性は高まっている。
2018年11月の統一地方選で「韓流」ブームを巻き起こし、国民党を大躍進に導いた韓氏は総統選敗北で、当時の勢いを完全に失った。韓氏側は「署名集めに不正があった」と主張し、裁判所に無効を訴えたが棄却された。最近では、新型コロナウイルスの感染防止対策を理由に学校などを投票所として提供することを渋っていると指摘されている。
総統選・立法院(国会)選で大敗し、党勢回復途上の国民党にとっても、韓氏が罷免されれば大きな痛手となる。政権批判により難局を乗り切りたいところだが、蔡総統は新型コロナの感染拡大を手際良く封じ込めたことで高い支持率を維持しており、手詰まり感が濃い。国民党内では諦めムードも漂っている。
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