【ソウル=豊浦潤一】朝鮮中央テレビは2日午後、金正恩朝鮮労働党委員長が1日に西部・平安南道の「順川リン酸肥料工場」の完工式に出席した際の様子を伝えた。正恩氏が公の場に姿を見せたのは、4月11日に平壌で行われた党政治局会議以来20日ぶりだ。重体説も報じられていた中、健在であることを誇示した。
朝鮮中央テレビの映像では、「5月1日」の日付が入った看板を背に、正恩氏がひな壇でテープカットを行い、工場内を歩いて視察する模様を伝えた。右手の指に挟んだたばこから煙が上がる様子も映し出された。朝鮮中央通信によると、正恩氏は「工場は、党政策の絶対的信奉者らが団結した力で創造した誇らしい結実だ」と述べた。式典には、正恩氏の妹の金与正党第1副部長らも参加した。
正恩氏の健康に異変が生じたのではないかとの推測の根拠となったのは、金日成主席の誕生日である4月15日の「太陽節」に金主席の遺体が安置される錦繍山太陽宮殿を参拝したと報じられなかったことだ。正恩氏が2012年4月に正式に最高指導者となってから初めてのことだった。
正恩氏の動静が伝えられたことで死亡説や重体説は否定されたが、「空白の20日間に何があったか解明されておらず、何らかの施術を受けたかどうかを含め健康不安が払拭されたわけではない」(日米韓協議筋)との見方も残る。今後、正恩氏が平壌で通常の執務に戻るかどうかが注目される。
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2020-05-02 16:29:01Z
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