欧州での大戦終結75年で講演するシュタインマイヤー独大統領=ロイター
【ベルリン=石川潤】ドイツが第2次大戦で無条件降伏し欧州での戦いが終結して75年となる8日、シュタインマイヤー独大統領はベルリン市内で講演し「我々が歴史から解き放たれることはない」と語った。「過去を思い起こすことを怠れば未来を失うことになる」とし、歴史を直視し続けることで各国からの信頼と民主主義を守り抜いていくように呼びかけた。
シュタインマイヤー氏は多くの犠牲者と苦しみをもたらしたドイツの歴史は「引き裂かれた歴史だ」と語った。ただ「引き裂かれた心でしかこの国を愛することはできない」とし、歴史を引き受ける覚悟を求めた。
「これに耐えられず、終止符を求める者は、我々がこれまでなし遂げてきたあらゆる良きものを台無しにしてしまう」というのがシュタインマイヤー氏の考えだ。ドイツでは極右勢力が広がり、ユダヤ人らを標的にしたテロも相次いでいる。同氏は「責任を認めることは恥ではない。否定こそが恥だ」と続けた。
シュタインマイヤー氏は「二度と繰り返さない」というドイツの戦後の誓いについて「二度と孤立しない」ことが重要だと述べた。「欧州人として考え、感じ、振る舞わなければならない」とし、現在の新型コロナウイルスとの闘いで欧州が結束できなければ、解放の日である5月8日の意味を失わせてしまうと強調した。
さらに「世界の平和秩序が我々の目の前で溶解しようとするのを許してはならない」と述べた。新型コロナとの闘いにおいても、必要なのは国際協力の拡大であって縮小ではないと指摘。「5月8日で解放が終わったわけではない」として自由と民主主義の追求が自分たちの使命だと訴えた。
新型コロナの影響で大規模な式典の開催が難しくなるなか、シュタインマイヤー氏の講演はメルケル首相やショイブレ連邦議会議長ら少数が見守るなかで行われた。多くの市民はテレビ中継で講演を見守った。
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2020-05-08 14:21:48Z
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