<テストステロン量で男性が女性よりもスポーツで有利なことは科学的な常識。生物学的性差を無視し、「個人的アイデンティティー」を重視する「アンフェア」な現実について>
そのとき、私は自信満々でいていいはずだった。
2019年、米コネティカット州中・高等学校競技連盟(CIAC)が主催する「S級選手権」の陸上女子100メートル予選に出場した私は、12秒14をマークして決勝シード権を獲得した。
決勝で走るのは誰もが望む中央のシードレーン。走力には自信があった。私は州最速の女子選手の1人だ、と。
でも、スタートラインについた私は震えていた。両隣には、生まれたときの性別が男性の選手が2人。他のレースの10倍も緊張していた。
「チェルシー、チェルシー!」
スタンドにいるアスリート仲間の声援がこだました。私が不利な競争を強いられていることを、仲間は知っていた。
スタートの号砲が鳴った。私の記録は12秒02。2着だった。トランスジェンダー選手の1人が11秒93のタイムで走り、私は負けた。
私は女子で最速だった。だがその日、表彰台の一番上に立ったのは、より力があって足が速い生物学的男性だった。
負けるのはつらいが、不公平なレースで敗者になるのは心を踏みにじられる思いだ。こんなことが起きているのは、性自認が女性の生物学的男性が女子種目に出場することを、CIACが認めたためだ。
高校時代の4年間に計27回、私はトランスジェンダー選手と並んで、誰もがフェアでないと承知しているレースを走った。あの2人と競い合って、勝ったことは一度もない。
2人は女子種目を制覇していた。両者合わせて州大会の15種目で優勝し(2016年には、女子選手計9人が1位になった種目だ)、17の大会新記録を出し、女子選手の出場機会を85回以上奪った。
陸上女子短距離選手が勝者になりたいなら、別の種目に転向すべきなのは明らかだった。
私自身は走り幅跳びに切り替えた。短距離走ならではの興奮が大好きなのに、悲しいことに私は短距離種目を恐れるようになっていた。
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2023-08-14 04:20:18Z
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