【ブリュッセル=竹内康雄】米中両政府は10日、温暖化ガスの一種であるメタンや石炭の削減、森林の保護など気候変動対策での協力策を盛り込んだ共同宣言を発表した。英グラスゴーで開催中の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、2大排出国が協力する姿勢を示したが、具体的な目標などは含まれていない。今回の共同宣言で、国際合意に向けて交渉をどこまで前進させられるか不透明感がある。
ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)と中国の解振華担当特使が会談して発表した。ケリー氏は記者会見で「この合意はCOP26を成功させるための支持表明だ」と訴えた。AFP通信によると、解氏が記者団に「(米中とも)現在の取り組みと(温暖化対策の国際枠組みである)パリ協定の目標にはギャップがあると認識している」として、両国が協力する必要性を説明した。
宣言では、米中両国は、2020年代の今後10年間で気候変動対策を強化して「気候変動の危機に取り組むことを約束する」と表明。世界の現在の排出削減努力とパリ協定の目標達成の「ギャップを埋めるために協力を強化し、対策を加速させる」と明記した。
具体的には、メタンの排出を減らすための具体的な計画を22年のCOP27までにつくることを検討する。再生可能エネルギーや省エネでの協力を深めるほか、違法な森林破壊を阻止するための支援でも協調する。中国は石炭の消費を減らすとも明記した。
両国が35年の排出削減目標を25年に国連に提出することも確認した。20年代の温暖化防止に向けた行動を強化するための作業部会も設ける。一方、温暖化の責任は、途上国より先進国が大きいとする「共通だが差異ある責任」の原則にも触れ、米国が中国に一定の配慮を示した。
米中は温暖化ガスの2大排出国で、両国の動向が世界の気候変動対策の実効性を左右する。だが中国に大胆な排出削減を迫る米国に対し、中国は経済への影響などを懸念して慎重姿勢を崩していなかった。
宣言には具体的な数字目標などは乏しく、米中が協力するという政治的なメッセージを発する意味合いが強い。COP26は12日までで、交渉は佳境を迎えている。今回の合意がCOP26を成功に導くか注目される。
欧州連合(EU)のティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)はツイッターに「二大排出国の協力はCOP26での交渉を後押しするだろう。今こそ、世界の合意を見いださねばならない」と投稿した。国連のグテレス事務総長は「正しい方向への重要な一歩だ」と歓迎した。
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2021-11-10 19:12:38Z
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