Jumat, 01 Mei 2020

「証拠を見た」トランプ発言と米情報機関の報告はなぜ食い違うのか。武漢研究所からのコロナ流出説が暴走する本当の理由(BUSINESS INSIDER JAPAN) - Yahoo!ニュース

4月30日、トランプ米大統領が記者会見で爆弾発言をした。

記者からの「中国・武漢の研究所が新型コロナウイルスの発生源だと強く確信させる何か(つまり証拠)を見たのか?」との質問に「その通り」と答えたのだ。もし事実なら、米政府は決定的な証拠をすでに入手していることになる。

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もちろん、アメリカ大統領は各省庁や情報機関が収集・分析した多くの情報を入手できる立場にある。大統領が「証拠を見た」と言うのであれば、情報機関が大統領にそうした報告をしたものと、通常は考えられる。

ところが、今回は奇妙な事態が生じている。情報機関の公式声明が大統領発言と矛盾しているのだ。

アメリカでは、各情報機関が収集・分析した情報は「国家情報長官室(ODNI)」がとりまとめ、「大統領日報(PDB)」と呼ばれる短い報告書を作成し、大統領に日々報告している。

しかし、今回トランプ大統領が「証拠を見た」と言う数時間前に発表されたODNIの公式声明文「COVID-19の発生源に関する情報コミュニティ声明」には、次のように書かれていた。

「情報コミュニティ(=情報機関の総体を指す)は、新型コロナウイルスは人工でなく、遺伝子組み換えでもないという科学的コンセンサスに同意する」

「情報コミュニティは、感染した動物との接触が発生源なのか、あるいは武漢の研究施設でのアクシデントによるものなのかを判断するため、さらに調査を続ける」

アメリカの各情報機関は、人工ウイルスではないことまでは確認したけれども、発生源についてはまだ未解明だ、と言っている。

「スパイ工作では発生源は特定できない」と情報機関の悲鳴

なぜ大統領と情報機関の認識は食い違っているのだろうか。

大統領発言の直後に米ニューヨーク・タイムズが興味深い記事(4月30日)を配信している。

▽「トランプ政権高官が、ウイルスと武漢の研究所をつなげるよう、スパイに圧力をかけている模様」

記事によれば、トランプ政権の高官が、これまで具体的な根拠の見つかっていない「武漢研究施設からの流出説」を補強する情報を入手するよう、情報機関に圧力をかけているという。情報機関の分析官たちの一部は、それによって情報分析が歪められ、間違った分析結果を受け取った政権が、中国批判のため政治的に利用することを危惧しているという。

ニューヨーク・タイムズの記者が現役および元職の関係筋に取材したところ、ほとんどの情報機関では、武漢の研究施設からウイルスが流出した証拠は今後も見つからない可能性が高いと考えているようだ。また、科学者たちの多くは、研究施設ではない環境で動物から人間に感染した可能性のほうが圧倒的に高いと考えているという。

どうやら、トランプ政権の高官と与党・共和党の議員のなかに、政権のコロナ対策への批判をそらすため、中国の責任に注目を集めたいとの思惑があるようだ。なかでも最も強硬な圧力を情報機関にかけているのは、中央情報局(CIA)元長官でもあるポンペオ国務長官らしい。

記事ではそのほかにも、ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)、ルッジェーロ国家安全保障会議(NSC)幹部らの名前があげられている。

また同日の米CNNも、ポンペオ国務長官がそうした情報機関への圧力の先頭に立っていると指摘。併せて、テッド・クルス上院議員(共和党)と、下院外交委員会の共和党トップであるマイケル・マコー下院議員の名前も報じている。

「トランプ大統領は新型コロナウイルスが中国の研究施設で発生した証拠を見たと主張したが、情報機関と矛盾している」(CNN、4月30日)

なお、先のニューヨーク・タイムズの記事によれば、政権から強引な「証拠探し」を命じられている情報機関の担当者は、ホワイトハウスに対して「感染源の特定は科学的な問題であり、スパイ工作では容易に解決できない」とくり返し主張しているという。

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2020-05-02 01:00:02Z
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