ドナルド・トランプ政権が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の「裏切り」を見極めている。日本政府が、半導体素材の輸出管理強化に踏み切ったことに対抗して、今月末にも、日米韓の安全保障の基盤である「日韓軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)の破棄をチラつかせているのだ。もし、実行に踏み切れば、「文政権=反日・離米」を確信して、日米で「怒りの鉄槌(てっつい)」を下すこともありそうだ。韓国は軍事的、経済的にもますます孤立し、自滅するほかなくなる。
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「文政権は、軍事的合理性を冷静に判断できない。『GSOMIAを破棄する可能性が高い』とみている。わが国よりも、韓国国民が不幸だ」
政府関係者は、夕刊フジの取材にこう語った。感情を抑えきれない隣国に、あきれ果てているようだった。
新任のマーク・エスパー米国防長官は7日、安倍晋三首相や岩屋毅防衛相らと相次いで会談し、GSOMIAの重要性を確認した。日本に向かう機中でも、「日韓で情報共有の枠組みが維持されるよう、しっかりと両国に促したい」と同行記者に語った。ロイター通信が報じた。
エスパー氏は「ウエストポイント」と称される陸軍士官学校卒で、マイク・ポンペオ国務長官と同期。湾岸戦争にも従軍しており、軍事における情報の重要性を熟知している。
GSOMIAは、日韓両国で北朝鮮の核・ミサイルの情報を共有する取り決めだ。北朝鮮の核実験が相次いだ2016年、当時のバラク・オバマ米政権の強い要請もあり、締結された。
ところが、文政権は、日本政府が貿易上の優遇措置を適用する「グループA(『ホワイト国』から改称)」から韓国を除外したことを受け、1年ごとの更新期限となる「8月24日」を前に、破棄を示唆している。
日米韓の連携に綻(ほころ)びが生じれば、対北朝鮮の抑止力が効かなくなるばかりか、中国やロシアをも利する。
トランプ大統領は7日、在韓米軍の駐留経費に関連して、「3万2000人の(米軍)兵士が駐留し、韓国を助けてきたが、事実上、何も得られていない。非常に不公平だ」とホワイトハウスで記者団に語ったが、一連の「韓国の裏切り」に不満を爆発させた可能性もありそうだ。
実は、GSOMIA破棄について、「日米には影響が少なく、韓国にダメージが大きい」という指摘がある。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「もともと、情報収集力は米軍が圧倒的優位に立っている。日本も情報収集衛星を7基保有している。韓国は北朝鮮に近い分、核実験情報や弾道ミサイルの発射地点付近の航跡などは細かく分かるが、それ以外は、日米にメリットは少ない。韓国が北朝鮮にスパイを潜り込ませて入手した秘密情報は、GSOMIAに関係なく、提供するはずがない」と指摘する。
日本は情報収集衛星だけでなく、北海道から沖縄に至るまで幅広い範囲で電波・信号情報を入手している。韓国には偵察衛星はなく、電波・信号情報も38度線の狭い範囲しか得られていない。
これまで、日米韓の防衛当局は信頼関係を深め、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射などがあるたびに、全体像の分析に役立ててきた。
ところが、文政権発足以降、状況は一変した。海上自衛隊の艦艇に「旭日旗」(海自旗)の掲揚自粛を強要したり、韓国海軍駆逐艦による海自哨戒機へのレーダー照射事件など、異常事態が連続している。
潮氏は「北朝鮮がミサイルを発射した際、日本の衛星がとらえた情報をもとに、韓国軍が発表を修正した事例もある。GSOMIAの破棄は、軍事的合理性を考えるとあり得ない選択だが、文政権は違うのだろう。日本は、破棄されても2016年以前の状態に戻るだけであり、(米国から情報を受け取れ)決定的な影響を受けるワケではない」と語る。
文氏については、22年5月の任期終了までに、北朝鮮との南北統一「高麗連邦国家」樹立に動くとの見方がある。これは、米韓同盟破棄を前提にしているとみられる。米中貿易戦争が激化するなか、韓国は自由主義陣営に残るのか、否かの選択を迫られることになりそうだ。
前出の政府関係者は「韓国が、大量破壊兵器に転用可能な戦略物資の不正輸出で信頼を損ねたのを棚に上げたままでは、軍事的信頼を築けるはずもない。日本側が『GSOMIA破棄は、米国の軍事戦略に齟齬(そご)をきたす』と説明しても、文政権は聞く耳を持たない。痛い目を見るのは自国なのに…。もはや、放置するしかない」と突き放している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190810-00000008-ykf-int
2019-08-10 07:56:00Z
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