【香港=木原雄士】香港の「逃亡犯条例」改正案をめぐる混乱が深まっている。5日はゼネストが呼びかけられ、3日連続となる抗議集会が各地で開かれた。香港国際空港を発着する240便以上が欠航になったほか、地下鉄やバスなど公共交通機関にも影響が広がった。ハンセン指数は景気への悪影響を懸念して一時3%超下げた。混乱の収束に向けた道筋は見えていない。
5日朝から若者らが複数の鉄道駅で非常ボタンを押したり車両のドアが閉まるのを妨げたりした。全11路線のうち空港と市内と結ぶエアポートエクスプレスを含む8路線が一時、運行停止に追い込まれた。乗客が運行を妨害しようとする若者に抗議し、つかみ合いになる場面もあった。航空便も管制官や航空会社職員の「病欠」が相次ぎ、日本便を含め欠航が相次いだ。
5日午後には7カ所で抗議集会が開かれ、一部の参加者は幹線道路を占拠して警察と衝突した。警察は催涙弾を使って強制排除を進め、若者らは傘を投げつけるなど激しく抵抗した。3日と4日には観光客も多い繁華街で衝突が起きる異常事態になっている。香港警察は5日だけで82人を逮捕したと明らかにした。
香港政府トップの林鄭月娥・行政長官は5日の記者会見で「最近の抗議行動は過激な暴力にエスカレートし、香港を危険な状況に追い込んでいる」とデモ隊を非難した。ただ、デモ参加者が求める警察の暴力行為を調べる委員会の設置などには応じず、どのように事態を打開するかは示さなかった。
大規模デモは6月以降、ほぼ毎週末続いている。平日に交通網が混乱する事態になり、香港経済や金融都市としての機能に懸念が高まっている。観光客や小売りには影響が出始めており、陳茂波財政官は5日「7~9月期にマイナスの影響が続けば、景気後退に陥る可能性がある」と懸念を示した。
香港は中国への経済的な依存が進んでおり、米中貿易戦争を受けて景気が低迷している。欧米企業が香港に置くアジアの地域拠点をシンガポールなどに移す動きが広がれば、さらなる打撃となりかねない。
一連のデモは中国本土への容疑者引き渡しを可能とする条例改正を阻止する目的で始まった。香港政府は条例改正を断念する考えを示したが、市民の間ではデモ隊を厳しく取り締まる警察への反発が強まり、混乱が収まる兆しは見えない。中国政府は暴力的なデモを批判し、香港政府を支持する立場を表明している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48224440V00C19A8EA2000/
2019-08-05 09:45:00Z
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